＜第85回センバツ高校野球（第8日・29日）＞仙台育英（宮城）4−1早実（東京）

　自慢の打線が、７回まで早実のエース二山の前に鳴りを潜めた。それでも「うちのチームの持ち味は後半に点を取れること」と仙台育英ナインに焦りはなかった。１点をリードされ迎えた８回、ついに強力打線がその実力を見せつける。代打・小野寺と熊谷の連続安打、佐々木の死球で一死満塁。暴投の間に１ー１の同点とした。その後二死二、三塁となり、４番・上林が打席に立った。

　主砲は「これまでも２アウトで自分に回ってくることが多かったので自信を持って打席に立てた」という。２球で追い込まれたがまったく焦らず、５球目の甘く浮いた直球をフルスイング。打球は中堅の前に落ちる２点打となり、ついに勝ち越しに成功。上林は試合後「何だかんだで持ってるな、と思った」と笑顔を見せ、佐々木監督も「（上林に）同点でチャンスが回ってきた時は“何か持ってるな”と思った。はああいう場面で絶対に打ってくれる」とうなずいた。

　今大会は昨秋の明治神宮大会覇者として東北勢初の優勝の期待がかかる。大会前に「（青森の）光星学院が３季連続準優勝した。東北勢はやれる」と話した上林。他校に警戒されながら勝ち進んだことが自信になったといい「ここまできたら優勝を狙う」と力強く言い切った。