◇巨人4−3広島
ヒーローインタビューで長野らからペットボトルの水を浴びせられた後に笑顔を見せる脇谷=東京ドームで
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巨人は2−3とされた直後の7回2死二、三塁から脇谷が2点右前打を放って逆転した。8回からはマシソン、山口とつないで逃げ切った。広島は7回途中から救援した今村がリードを守れず、打線も終盤の好機を生かせなかった。
大事な開幕戦。巨人を救ったのはどん底からはい上がった脇谷のこん身の一振りだった。1点を追う7回2死二、三塁で広島・今村が内角へ投じた直球を強振。打球はきれいなゴロで右前へ転がった。三塁走者の阿部に続いて、二塁から村田も生還。逆転劇が完成だ。
「こういう日が来ると信じてやっていました。あの場面は走者を返すことだけを考えていた」と語る脇谷にあるのは満面の笑み。お立ち台では矢野、坂本、長野にペットボトルの水をかけられたが、手荒な祝福にも「すごくありがたいです」とニッコリ。原監督も「いいスタートを切ったと思う」と労をねぎらった。
一昨年11月に右肘を手術。昨年は育成選手となり、背番号は023となった。苦しいリハビリの毎日。日暮れ前の帰宅に野球ができない悔しさを感じていた。そんな男を支えたのは家族だった。
「娘は野球のことをよく分かってないけど、笑顔で迎えてくれた」と脇谷。感謝の思いを胸に右肘を完治させ、オープン戦では復調をアピール。開幕戦スタメンを勝ち取った。そして、大事な場面で殊勲打。テレビ観戦している家族への恩返しをすることができた。
部屋には苦闘を忘れないように、育成時代のユニホームを飾っている。復活の道は始まったばかり。「連覇に貢献できるように頑張りたい」と語る脇谷は願いをかなえるため、勝負強さを発揮し続ける。 (川越亮太)
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