社会人の中には未だに「学生時代は遊んでおけ!」みたいなアドバイスを与える人がいますが、あれは嘘です。
ポータブルなスキルを身につけろ
学生時代に遊んでいてもよかったのは、企業が新卒人材を育成する余裕があった、幸せな時代の話です。
企業の体力がなくなってきていること、長期雇用が一般的ではなくなりつつあることなどを要因に、企業は新卒学生にも「即戦力」を求めるように変化してきています。
このため文科省は11月、経済同友会などの企業側と大学側が参加する懇話会を設置し、この席で企業側から 「大学教育の中で、即戦力となる人材を育ててほしい」と要望が出されていた。
経済同友会の担当者は「長引く不況で研修費を削らざるを得ず、研修が最低限ですむ即戦力を求める傾向が強くなった」と分析している。
「アルバイトに励み、バイトリーダーとして売上を15%アップさせました」程度の実績では、通用しなくなるのです。優秀な外国人も市場に参加してきていますし、遊びしかしてこなかったスキルのない学生は、かなり厳しい戦いを強いられるでしょう。
ぼくの周囲のベンチャー企業では、そもそも即戦力しか採用していません。のんびり育成している余裕なんぞないからです。ベンチャー企業的な採用の感覚が、今よりも多くの企業に広がっていくのがこれからの社会です。
「遊ぶ」以外にぼくがおすすめしたいのは、「ポータブルなスキル」を習得することです。ポータブルなスキル、つまり、「明日違う会社に入っても、すぐに使えるスキル」です。
ぼく自身も、ポータブルスキルを意識してキャリアを形成しています。今のところこんなスキルを持っています。
・テキストコンテンツの制作
・ウェブマーケティング
・ウェブ制作、ディレクション
・編集
・パブリックスピーキング(プレゼン)
これらのスキルはポータブルなので、もしぼくが、明日みなさんの会社に参加したとしても、「即戦力」として通用します。どんな会社であっても、社内の課題を見つけて改善プランを出せる自信はあります(テキストコンテンツはどの会社も改善の余地がありますから)。
学生時代にポータブルスキルを習得する際には、「若者なりの強み」を意識するとよいでしょう。上の世代が習得しにくいスキルを、自分の武器にするのです。具体的には、やはりウェブ、テクノロジー関連のスキルになるかと思います(ウェブデザイン、プログラミングなど)。
あなたは戦場でどんな魔法を使う?
ポータブルスキルの習得は、イメージ的にはRPGの攻略です。どこの街に行っても、どこの戦場に行っても、戦える技、魔法を習得しておくべきなのです。
あまり偏りがあっても危険です。火の魔法しか使えない魔法使いは、火に強い魔物が多い戦場では活躍できません。火だけではなく、他の属性魔法も習得しておきましょう。
とはいえ、そもそも多くの学生は「どんなスキルが社会で求められているか」を肌感覚として理解していないでしょう。まずは、社会にはどんなモンスターがいて、どんな戦士や魔法使いが重宝されているのかを知る必要があります。
それを知るための一般的な方法は、世に言う「インターン」というやつでしょう。企業の現場に放り込まれれば、戦場で何が求められているかを知ることができます。ロールモデルとなる先輩戦士・魔法使いも見つけることができるでしょう。
インターン先におすすめなのは、やはりベンチャー企業、NPOです。鈍重な大企業よりも、流れが早い組織の方が学べるものは多いでしょう。レベル上げをするなら、厳しい環境でやるべきです。インターン先を探すサイトとしてはETICがおすすめです。
ぼくはギリギリ間に合った世代ですが、今の、これからの学生はかなり厳しいと思います。「遊んでおけ」というアドバイスはひと昔前の話なので、真に受けず、自分のポータブルスキルを磨きましょう。
★この記事を読んだ人にはこんな本がおすすめ。
かなりマッチョですが、田村耕太郎さんの一喝は目を覚まさせる良薬となるでしょう。「最悪に備えて準備せよ」は重要なメッセージです。