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■憤懣本舗「学校の運動場跡にマンションが」 2012/12/03 放送

 月曜日は憤懣本舗。

 今回は、学校法人が売却したグラウンド跡地での、マンション建設を巡る周辺住民たちの「憤懣」です。

 景観が損なわれると反対している住民たちですが、グラウンド売却の経緯を調べていくと、怒りの矛先は行政側にも向けられるようになりました。




 阪急苦楽園口駅から徒歩8分。

 西宮市神園町。

 六甲山や甲山を見渡せる閑静な住宅街です。
 
 ところが、その景色を遮るマンション計画が持ち上がり、すぐ南側の1軒家の住民たちが不満の声を上げているのです。

 <女性住民>
 「ここの窓からよく見えるんですけど。(窓)ぜんぶマンションになりますね。悲しいね、六甲山も見えなくなるね、甲山も見えなくなる」

 マンション業者の説明では、マンションは6階建て、高さは18メートル、83戸の部屋が入り、再来年春の完成予定だといいます。

 業者の資料を元に完成予想をCGで作ってみると・・

 こんなイメージ。

 

 見慣れたあの自然豊かな風景は、一変します。

 中でも住民たちが納得できないのは、マンション建設ありきの説明会が今年2月突然、開かれたことでした。

 <マンション業者・レコーダー>
 「一民間企業としては、マンションを作って生計をたてている。土地を買った以上は・・」
 <男性住民・レコーダー>
 「土地こうたら、なんでもできるんですか?おたくらの勝手で」
 <マンション業者・レコーダー>
 「我々としては、設計というのは住民の意見を反映して作るものでなくて・・」
 <男性住民・レコーダー>
 「あの環境に、いきなり6階(マンション)ですよ」

 <女性住民>
 「住民エゴだといわれるかもしれないけど、(震災でも)この緑は無事だったというのが、ある種すごく救われた。お金お金で『売りました、建てます』というのはどうかな?」

 これに対し、マンション業者側は「条例に基づき、住民のみなさまと協議を重ねて事業を推進していきたい」と話しています。

 


 ただ、住民の憤懣の矛先は業者だけに留まりません。

 <女性住民>
 「あそこが幼稚園なんですけど、グラウンドがあれだけ?ほんとにグラウンドがない」
 <女性住民>
 「もし(マンションが)建ったら、幼稚園ぜんぶ日陰ですよね」

 マンション建設予定地が、学校のグラウンドなのです。

 空から見てみるとよくわかります。

 住宅街の中で広大な敷地があるここには、高校、中学、幼稚園があります。

 

 この敷地の南東角が建設予定地で、幼稚園の校舎の目の前です。

 <女性住民>
 「日本であったのかしら?運動場がマンションに・・・ 学校が売って、マンションを建てるというのがあったのかしら?」
 <女性住民>
 「歴史ある学校ですよ」
 <女性住民>
 「スポーツも有名だったのに、それを売っちゃうというのはね」
 <女性住民>
 「なんとかできなかったのかしら」

 なぜ、こんな場所にマンション計画が浮上したのでしょうか?

 実は、あのリーマンショックが影響していました。

 学校法人は2008年、金融先物取引でおよそ120億円の赤字を出し、教職員に給与を支払えなくなったため、その費用を捻出するためグラウンドの一部を売却したというのです。

 マンション業者の住民説明会では、こんな話も出ていました。

 <女性住民・レコーダー>
 「子どもたちに、お日様あたりますか?」
 <業者・レコーダー>
 「それは学校が、われわれがマンション建てるのをご認識のうえで、ご売却されているので」

 こうした事態について、学校法人は・・・

 「現時点ではコメントできません。法令順守でやっています」(学校側のコメント)

 今のところ、幼稚園に通わせている保護者からは、表立っての反対運動などは起きていませんが、住民が土地売却の経緯を調べていくと、新たな問題が浮かび上がってきたのです。

 <男性住民>
 「それは虚偽じゃないですか」


 突如持ち上がった、学校のグラウンド跡地でのマンション建設。

 工事は、着々と進められていました。

 <住民の加藤珠美さん>
 「この松の木は40年くらいたっているし、ポプラの木も3、40年くらいなのに、それが切られるとなると、取り返しのつかないことだけに心が痛い」

 納得がいかない住民たちが、土地売却の経緯を調べていくと、不可解なことが見つかったというのです。

 <男性住民>
 「『事情が変わったので売りました』と。何の事情が変わったのかは、具体的には書かれていない」

 学校法人が売却した土地の中に、西宮市が所有する土地があったのです。

 それは法定外公共物と呼ばれる里道(りどう)や、水路で9年前に地方分権の一環として国から無償で譲り受けたものです。

 中には、昔の地図上にだけ確認できるものもありました。

 今回の場合も、地図を元に譲り受けたもので、まさにマンションが建つど真ん中に、かつて水路があったことがわかりました。

 

 西宮市は、この40平方メートルの土地を、およそ400万円でマンション業者に売却したのです。

 <男性住民>
 「国からただでもらっているので、それをマンション業者の利益のために安いお金で売ってしまったのは許せないことですね、完全に違法です」

 実はこの水路などについて、西宮市は将来道路を広げる名目で譲り受けていたのです。

 <針原祥次弁護士>
 「本来、払い下げを受けた理由とは全く違って、マンション業者にその土地を売却してしまった。国の財産を地方の管理に任せようとしたことを、地方の方が悪用したみたいな感じですよね」

 これに対し、西宮市は学校法人と土地交換などの交渉を進めていて、譲り受けに問題はないとしていますが、いまだ道路建設にはいたっていません。

 <西宮市土木課 渡邊俊行課長>
 「譲与を受けて、払い下げにいたるまでの用地処理につきましては、適正に行ったと考えています。マンション建設に伴う開発行為につきましても適用法令を順守されて、適正な手続きがなされているという風に考えています」

 西宮市は、2,200か所の法定外公共物を譲り受けていて、住民は今後、同様の問題が起きないようにと裁判を起こしました。

 

 <住民の加藤珠美さん>
 「もちろん勝ち負けも大事なんだけれども・・・ こういう法律さえ最低限守っていれば、何をしてもいいんだという風潮はどうかと思うし、市の職員の仕事の姿勢、ほんとにそこに、住民のためとか住民のとってどうかという視点を持って、仕事をされているかどうかも凄く気になりますね」

 景観問題だけでなく、法定外公共物の売却もからんだ、今回の複雑な問題、住民側は市が業者と交わした取引の違法性について、強く主張していきたいとしています。




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