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予算委員会で質問しました。

平成25年3月29日(金)、参議院予算委員会で、安倍総理はじめ、関係閣僚に「自民党 日本国憲法改正草案」の問題点を中心に質問をさせて頂きました。
 
質問の様子と内容は参議院インターネット審議中継からご覧いただけます。
 
日本国の総理大臣が、現行憲法で最重要の条文である憲法13条の内容を知らず、また、憲法の基本的な勉強を何もせずに、あたかも子どもがおもちゃを扱うがごとく、明治憲法と同様の人権抑圧を可能とする「憲法改正草案」なるものを、自らがリーダーシップを取って作成していたということを明らかにした、極めて重要な質疑であると考えています。
 
自民党の憲法草案の余りのひどさと、常日頃の総理の国会での憲法に関する答弁から、「安倍総理はおそらく憲法13条の内容を何も理解していないのではないか。」と考えて、まずは、その内容と存在(条文)について問うことにしました。 
 
これについては、「戦争放棄を定めた条文は何条か。」と聞かれて答えられない政治家は、国民の皆さんの批判のもとに立場を失うでしょう(※第9条です)。
それと同じく、『「個人の尊厳」、「包括的人権」、「幸福追求権」を定めた条文は何条か。』と聞かれて、「憲法13条」と答えられない政治家は、残念ながら同じくその地位にある資格がないと言わざるを得ません。
 
ましてや、行政権の長である内閣総理大臣がそれを知らないというのは、即刻不信任に値する事件だと思います。
 
なお、内閣が作成し国会の議決のもとに執行する予算案は、全て、憲法が求める国民の尊厳を守り、また、その幸福追求権を最大限に実現するものでなければなりません。
 
それ故、憲法改正が現実の政治課題となっている状況も踏まえ、国会の中で国政に関する全ての事柄を審議することができる慣行が確立している予算委員会の中で、自民党総裁たる安倍総理に、憲法論議を挑んだものです。
 
国民の皆さんは、憲法13条がなんたるかを詳細に知って頂く必要はありません。もちろん、知って頂く方が望ましいですが、こうした憲法の専門的な知識をしっかり勉強しそれをもとに国民の皆さんのために働くために、我々国会議員は選挙で選ばれ、そして、国会議員の代表として内閣総理大臣が任命されているのです。
 
「国民の皆さんお一人一人をかけがえのない存在として尊重し、そして、その皆さんの一度きりの人生のかけがえのない幸せを他の方の幸せとともに調整しながら、それを最大限に実現していくために、立法や行政が存在する」という、憲法13条の意義を常にかみしめ、これを最大限に生かす立法や行政を行うのが、我々国会議員や内閣総理大臣が憲法から命じられた使命です。
 
なお、本日は、現行憲法の条文を含めた、資料を配付して質疑を行いました。
安倍総理は手元に十分な資料を持っていたし(憲法の条文のページも開いていました)、ましてや、自民党憲法改正草案の中で、現行憲法で最重要の条文である憲法13条を改正しているのですから、誰よりも憲法改正を唱えている安倍総理が憲法13条の存在や内容を知らないというのは、そもそも、始めから憲法のことを何も分かっていなかったということを白状しているだけのことです。
 
その証拠に、安倍総理は、私の、「では、現行憲法13条の内容を自分の言葉で説明して下さい。」との問いに何ら答えることができませんでした。また、憲法を学んだことがある者なら誰でも知っている最も著名かつ戦後の新しい憲法秩序の構築に対し最も影響力のあった憲法学者の名前すら知りませんでした。
 
本日の質疑の内容の詳細と議場で配付した資料は追ってUPさせて頂きますが、先だって、本日の質疑に関する私の問題意識と見解をまとめた、2010年6月23日付けの当ブログ記事を以下に掲載させて頂きます。
 
これは、参院選に入る告示日の前日の投稿ですが、候補者の時から変わらぬ信念と使命感で、これからも、国民の皆さまのかけがえのない自由と権利を守り、福祉を実現していくために全力で闘って参ります。
 
(注: 以下の文章の中の自民党の憲法改正案は、2010年7月当時のものです。その後、2012年に発表された最終案は、これよりもさらに全体主義的かつ復古的な内容となっています。ただし、憲法13条の「公共の福祉」を「公益及び公の秩序」と修正する点は同じです。)
 
ーーーーーーーーーーー
 
 
■民主党と自民党の違いについて

活動の間に、かつて程ではないのかもしれませんが、民主党と自民党の違いは何ですか?という声をお聞きしました。

一言で言うと、リベラル政党と保守政党ということになるのかもしれませんが、その違いが最も象徴的に現れている点をご紹介します。

それは、自民党が発表している憲法改正案の第13条の内容です。
http://www.jimin.jp/jimin/shin_kenpou/shiryou/pdf/051122_a.pdf

【現行憲法】
13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

【自民党改正案】
13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益および公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

まず、この憲法第13条という条文は、実は、100条ある憲法の中で最も重要な条文で他の99条がこの13条の理念を実現するために存在するものです。
その趣旨を噛み砕いていうと、「すべての人はかけがえのない一人の人間として尊重されなければならない。そうした一人一人の国民は、一度きりの人生を精一杯最大限幸せに生きる権利があり(=幸福追求権)、それが他の人の幸福追求権と調和する限りにおいて、その実現のために最大限尽くすのが国会の立法を始めとする国政の責務である」ということです。

ポイントは、現行第13条の「公共の福祉に反しない限り」という言葉です。この「公共の福祉」というのは「他の人の幸福追求権」という意味であることが最高裁の判例でも確立しています。
つまり、かけがえのない個人が一度きりの人生を精一杯幸せに生きるに当たっては、あくまで、他の人の求める幸せと調和する限りにおいてそれが許容されると言うことです。

お互いがお互いをかけがえのない個人として認め合い、またその幸せと尊厳を尊重し合い、それが調和したかたちで共存する、すなわち「ともに生きる社会(=共生社会)」の基本理念がここに現れています。

しかし、自民党の改正案になるとこうした、「個人を尊重する」、「互いにそれぞれの幸福追求のあり方を尊重し、調整し合う」という考えはまったく無くなってしまって、どこの誰かが確かな基準も無く勝手に決めた「公益および公の秩序」なるものの前に、個人の自由や権利は押し殺されてしまう、すなわち、全体主義の国家が出現してしまいます。

私も、われわれの社会に「公益や公の秩序」という概念があり得ることは否定しませんが、それはあくまで、個々の幸福追求権の不断の調整の結果観念できるもので、始めから何か絶対的なものが社会に存在するものではありません。(それは独裁国家や神権国家です)
自民党も、おそらくかつての日本の村社会的なことを発想のベースにして、ナチスのヒトラー政権のような全体主義国家をつくるつもりはないのだと思いますが、最高法規の憲法の核心条文に「公益、公の秩序」という条文を入れることは、その暴走の危険の扉を開け放つことになります。

こうした、自由主義社会、民主主義社会、人権社会において最も重要な条文を無邪気にまったく正反対の意味に変えてしまう自民党という政党の人間社会や憲法論に対する見識の低さには正直唖然としますが(ちなみにこの改正案をまとめた座長は、自民党を離党した新党改革の党首の桝添氏です)、それはさておき、政策を考えるときに、①その政策の向こうの、一人一人の国民の皆さんの顔を考えているかどうか、そして、②その異なる一人一人の尊厳を尊重しながら共生の理念の下にあるべき調和のかたちに粘り強く政策をまとめていく姿勢を貫けるかどうか、それが民主党と自民党との根本的な違いだと思います。

追伸:
私は、「日本の歴史の中でたった一つだけ最も重要な出来事」を挙げてみて下さいと問われれば、「憲法第13条が制定されたこと」と答えています。この条文によって初めて、日本という土地の上で、「一人一人の国民が他の方と手を携えて一度きりの人生を精一杯幸せに生きること」が可能となりました。
 
 
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