予算員会(3月29日)で明らかにした内容について
■自民党「日本国憲法改正草案」の問題点について
○ 自民党の「日本国憲法改正草案」においては、現行日本国憲法の第13条について以下のように変えるとしています。
【現行憲法】
第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
【自民党 日本国憲法改正草案】
第13条 全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益および公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に最大の尊重されなければならない。
○ 自民党の憲法改正草案の第13条が成立すると、以下のように明治憲法と同じく人権が保障されない全体主義の社会になる事態が生じることを、様々な資料をもとに質疑の中で明らかにしました。
・自民党の草案は、①人権を超越した全体主義的な価値によって人権制限を行うことを一般化し、②さらに、人権の調整原理としての憲法13条の機能を喪失させ、③全ての人権の解釈指針や最後のよりどころとしての憲法13条の人権の包括規定性を失わせることになること。
・それは、すなわち、明治憲法による憲法直接のあるいは法律の留保による人権侵害を可能とする、決して許すことのできない憲法秩序の創設を可能とすることになる。
・その結果、言論、報道、結社、信教の自由等々、全ての自由権が抑圧され、さらには、現行憲法が禁止している徴兵制についてもそれを合憲とする可能性を開いている。
・なお、自民党の憲法改正草案第13条は、国家や団体の利益で国民の権利と自由を制限している中華人民共和国憲法第51条と内容的に同じであること解されること。
○また、質疑での確認により、安倍総理大臣について、以下のことが明らかになりました。
・安倍総理は、憲法で最重要の条文であり、「個人の尊厳の尊重、幸福追求権(包括的人権)」を定めた憲法13条の存在も、また、それがどういう価値を持つかも何も知らず、従って、求められてもそれを自分の言葉で説明することができないこと。
・さらに、安倍総理は、自民党の中で憲法改正議論をリードし、自民党の総裁として改正草案を持って憲法改正を主導しながら、戦後の憲法学説を代表する通説を何も知らず、憲法についての基本的な勉強を何もしていないこと。
※ 国会議員が法律を作成する時にはあらゆる法律資料を読み込みます。憲法改正草案を作成するのであれば、戦後の主な憲法学説や最高裁判例を膨大な作業をもとに分析していくのは立法者として当然の作業です。
・安倍総理は、日本国憲法の下では違憲となっている徴兵制が、自民党の日本国憲法改正草案のもとでは違憲になるのか合憲になるのかについて、答えることができないこと。
以上
(ご参考)
※ 憲法13条は、憲法全体を支配する個人の尊厳と幸福追求権を定め、さらに、 国会や内閣が何のために存在するのかを定めた日本国憲法で最も重要な条文です。
「包括的権利(=幸福追求権)を定めた条文は何か。 」、「また、個人の尊厳を包括的に定めた条文は何か。」と聞かれて、即座に「憲法13条だ」と答えられない政治家は総理の資格はないのです。
それはようするに、自分の手で憲法の下の日本社会をどうすればより良くできるか考えたことがない、あるいは、これまで自分の手で何の立法もやったことがない証そのものなのです。私の質問を「クイズだ」と言い逃れの発言を繰り返した安倍総理は、ただ単に憲法の内容が何も分かっていないことを隠そうとしただけと考えています。少なくとも、もし、幸福追求権などの内容を知っていれば、「何条かは忘れましたが、いずれにしても、幸福追求権とは・・・というものだ」と答弁したはずです。
※ 私は、これまでの安倍総理の国会等での発言から、安倍総理がひょっとして憲法13条を何も知らない、分かっていないのではないかという疑念を持ち、まずは、「何条ですか?」と問いました。そして、安倍総理の回答ぶりは私の予想を遙かに超える無知かつ無責任ぶりでした。
(例えば、同じ保守派の総理でもかつての中曽根首相なら、即座に「憲法13条」と答えたでしょう。)
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