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2010年7月 掲載 

広島女学院大学

国際教養学部 国際教養学科 教授

石井 三恵(いしい みえ)先生

学生に託す
「ジェンダーにとらわれない」社会づくり
石井先生

世界でより早く女性参政権を獲得した「フィンランド」が、現在の研究テーマ。「日本との共通点も多いけど、女性の社会参画には大きな違いがある。そこを明らかにしたいですね」



アメリカ議会図書館からもオーダーがあったという、代表的な著書『ジェンダーの視点からみた白樺派の文学』。


●石井先生のプロフィール

岡山県生まれ。広島女学院大学文学部日本文学科卒業後、一般企業に就職。その後、専門学校や大学で教えるかたわら、広島女学院大学大学院へ進学。2000年、言語文化研究科後期課程修了(博士[文学])。2004年より広島女学院大学 生活科学部に着任。
人と人が尊重し合うより良いコミュニケーション論を説くNPO法人「アサーティブジャパン」の設立に携わり、現在は理事を務める。趣味は剣道やスキューバ・ダイビング、スキーなど。


強くて無口、詩人で哲学者、時々ふらりと旅に出る「スナフキン」は理想の男性像。グッズは全て学生からプレゼントされたもの。


石井先生の担当科目
  女性学
ビジネス実務総論
ビジネス実務演習
プレゼンテーション概論
など

働いて気付いた社会のあり方

 「私は転職組なんです(笑)。一般企業で働いたこともあるし、専業主婦時代もあります。子育てもしたから、女性としてひと通りのことはやってきたかな」
 なるほど、だから先生の専門は、女性視点から学問を問い直す「女性学」であり、「キャリア教育」なんですね。
 「でも学生時代は、女性学なんて興味がなくてね、社会に出て初めて、女性の生き方を考えるようになりました」
 それは、何かきっかけがあったんですか?
 「20年ぐらい前、役職についた時、部下の男性の視線が変わったことに気づいたんです。実際に、指示をスルーされたこともありました」
 当時、女性の上司はまだ珍しかった。きっと、部下の人たちもとまどったのでしょう。だけど先生は、そこで感情的に怒るよりも、「相手の立場を理解して伝える」ことのほうが大切だと思って、人間関係を築いていったんだって。そこから、先生の中で、「男女が対等な人間として、お互いを尊重できる関係」が大きなテーマになっていったんですね。


明治の落とし物

 社会人経験を積み、母校の大学院に戻った先生は、「白樺派文学を切り口としたコミュニケーション論」の研究に取り組んだ。
 「志賀直哉、有島武郎、武者小路実篤を主軸として、ジェンダー(社会的・文化的に作られた男女の差異)視点から考察しました。男性の書き手が女性をどう描くかに着目したんです」
 男性作家の女性の描き方!? これまで、そんな視点で文学作品を読んだことないな・・・。
 「作品の書かれた時代は、男女の人権を守ろうという気運が高まっていた日本の転換期。だけど、彼らは“自分が愛する人が、社会で自分と同様に扱われていない”ことに苦しんでいるんです。80年も前の小説ですよ。女性の生きづらさは根深いと感じない?」
 はい。女性をとりまく環境は少しずつ改善されているけれど、まだ十分とはいえないですよね。そのことを女性自身が認識していない場合もあります。そんな、社会から染み込まされたジェンダー意識が女性の生きづらさを助長しているんじゃないでしょうか。
 「そう、明治期から続いている男女差問題は、祖母から孫の代へ、目に見えない意識の中で引き継がれてきたもの。私はこれを“明治の落とし物”と呼んでいます。そして落とし物は、いまだに落とされたままになっていると感じるんです」


日本文学やジェンダー論、ビジネス系などで整理された本棚。学生にも自由に貸し出している。


役割分担を選べる時代に

 先生はこれらの話を主に「女性学」の講義で学生に伝えている。
 「みんな真剣に聞いてくれますよ。明治時代からの100年で培われたジェンダー・バイアス(男女の役割の固定観念)は確実に残っている。それをこれから変えていくのは、今、学んでいる学生たち」
 そして「変えていこうという意識は、女性の働き方にもつながるはず」と先生は続ける。
 「専業主婦願望をもつ女子学生には、主婦だって仕事の一つというプロ意識が必要だって言うんです。もちろん、男女の役割分担や働き方は、カップルが話しあって決めるべきこと。だけど、もし夫が失業したとしても、生活していける力をつけておいてほしい」
 性差にこだわらず、それぞれの得意分野を生かして、やるべきことを自由に選択できるような時代・・・それが先生の理想なんだ。


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