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核戦争防止国際医師会議(IPPNW)に所属する独の医師、ヨルク・シュミット博士は11月29日に講演を行い、放射能汚染に対する日本人の認識は甘すぎる、と警告。福島、栃木、茨城、宮城の4県から避難が必要、とアドバイスした。
「早川マップ」でも甘すぎる
各地の汚染度を知る目安として、日本ではしばしば群馬大学の早川教授が作成したいわゆる「早川マップ」が用いられる。これについてもシュミット博士は否定。早川マップでは東京の汚染がほとんど見られないが、実際には東京も含めた日本の広い地域がセシウムで重度に汚染されている、と断言した。
同博士が講演で使用したマップによると、福島第一原発を起点に、内陸部に向かって帯状に伸びた地域では、福島県内と同等の汚染が見られるという。さらにそれ以外にもホットスポットが点在しているが、こういった地域は避難が行われていない、と指摘する。
この池にはカモがくるから大丈夫
講演の中では、日本を訪れた同博士の友人、デルテ・シーデントプフ女医の談話も紹介された。同女医は各地で話を聞き、放射性物質に対する日本人の認識が甘いことに驚いたという。
「この池にはカモがくるから汚染していない」など、迷信に近い考えも見られたそうだ。
IPPNWは1980年に組織された国際的な医師団体。核戦争を医療関係者の立場から防止することが主な活動目的で、世界83カ国から、約20万人の医師が参加している。1985年には、ノーベル平和賞を受賞。隔年で行われる世界会議が、今年は11月に広島で開催された。
東京は高濃度汚染地域のど真ん中
こういった背景を持つ団体に所属する医師の講演だけに、その言葉には説得力がある。シュミット博士は、繰り返し、首都圏の危険を指摘。東京は風によって飛来した放射性物質によって高濃度に汚染された地域の真ん中にある、と警告した。また福島、栃木、茨城、宮城の4県については、5000ベクレル/kgにも上る高濃度の土壌汚染が確認されていることから、避難が必要、と語った。