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東電が原発事故総括「防げた事故だった」
3月29日 17時8分

東電が原発事故総括「防げた事故だった」
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おととし3月の原発事故について、東京電力は、事前の備えが十分であれば「防げた事故だった」と原因を総括したうえで、安全を最優先にする組織や、緊急対応の強化などを盛り込んだ改革プランを公表しました。
東京電力は、改革によって将来的な原発の運転再開につなげたい考えですが、事故を起こした当事者として理解を得られるかは不透明で、廣瀬社長は「改革が実行できなければ、原発を動かす資格はないと考えている」と話しました。

改革プランは、東京電力の社内事故調の最終報告が自己弁護に終始しているなどと批判を浴びたことから、社内の特別チームで検討していたもので、29日の改革監視委員会で了承され、公表されました。
それによりますと、まず今回の事故について総括し、「巨大な津波を予想することが困難だったという理由で、原因を天災として片づけてはならない」として、「事前の備えが十分であれば防げた事故だった」と結論づけました。
そのうえで、事故で明らかになった問題を具体的に改善する、6つの対策を盛り込んだ改革プランを示しています。
この中では、経済性を最優先するあまり、原発という特別なリスクを扱う会社でありながら経営層のリスク管理に甘さがあったとして、経営とは独立した形で安全の取り組みを継続的に監視する内部組織を設けるとしています。
また、情報の共有がうまくいかないなど、事故対応が混乱した反省に立って、1人の責任者が管理する人数を最大7人以下に制限するなど、緊急時の指揮命令系統を明確にするとしています。
このほか、原発のリスクを公表することに消極的だったとして、「リスクコミュニケーター」という新たな専門の担当を設け、経営側や原子力部門のリーダーに社会の目線で提言を行うとしています。
東京電力は、こうした改革の実行によって、将来的に、新潟県にある柏崎刈羽原発の運転再開につなげたい考えです。
しかし、事故を起こした当事者として社会の理解を得られるかは不透明で、記者会見した廣瀬社長は「改革が実行できなければ、原発を動かす資格はないと考えている」と話しました。

改革プランをいかに実行に移すか

事故から2年がたって、具体的に示されたさまざまな改革プラン。
東京電力は絵に描いた餅にせず、いかに目に見える形で実行に移すかが問われることになります。
そのための具体策として、東京電力は、各プランの進捗(しんちょく)状況を3か月に1度、確認し、遅れている場合は原因を追及し、必要な改善を行うとしています。
また、半年に1度は、プラン自体の見直しの有無も検討するとしています。
さらに、事故の教訓を風化させないため、津波の威力を示す、逆さまになって突き刺さっている自動車のようなものや、水素爆発のすごさを示す折れ曲がった鉄骨のようなものを保存するほか、社員については、一定の期間、福島の復興に向けた取り組みに参加させ、事故現場を自分の目で見て感じる活動も行うとしています。
また、3月11日を「福島原子力事故の日」と定め、この日は、休日でも、原子力部門は毎年、事故を振り返り、実際に事故対応に当たった担当者と対話を行うなどとしています。

事故の教訓をどう共有するか

一方、これらの改革の内容、事故の教訓を、ほかの電力会社とどのように共有していくかも大きな課題です。
事故で明らかになった数々の問題は、当事者である東京電力が最もよく知っていることは言うまでもなく、国内外の原子力の安全を高めるためにも積極的に情報を発信していくことが求められます。
特に、事故の教訓を取り入れた原発の新たな安全基準作りが進んでいますが、基準で求められる対策を整備したとしても、緊急時に期待した効果を発揮できるかは、分かりません。
NHKが、福島第一原発の事故の際の消防車による注水を専門家と共に検証した結果、注入しようとしたうちの半分以上が原子炉に入らずに漏れ出ていたという結果が出ています。
原子力規制委員会は、今後、各原発に出向いて、緊急対応を行う実際の担当者と直接対話をしながら、原発の弱点探しをするという方針を示しています。
こうした取り組みが実効性を持つためには、福島の事故から浮かび上がった教訓と対策を共有していくことが重要で、東京電力はもちろん、ほかの電力会社も、みずからの問題として捉え継続して実行していくことが何より求められているといえます。

米原子力規制委の元委員長「今後も監視」

改革プランについて、アメリカ原子力規制委員会の元委員長で、改革監視委員会の委員長のデイル・クライン氏は「東京電力は過ちを認め、事故を起こさないための改革プランをまとめた。しかし、これから改革の長い道のりが始まることになり、継続的に実行されるか、今後も監視を続けていく」と話しました。

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