ここから本文です
最終更新:2013年3月26日(火) 20時0分

朝鮮総連本部を落札、池口恵観氏の目的は

 競売にかけられていた朝鮮総連・在日本朝鮮人総連合会中央本部の土地と建物を45億円あまりで落札したのは、北朝鮮だけでなく日本の政界やスポーツ界などにも広く関係を持つ宗教関係者でした。落札の目的は何か? JNNは2年前の重要な場面を取材していました。

 「この寺とかえてでも(祈りの)拠点としたい」(池口恵観法主)

 こう話すのは、池口恵観氏(76)。26日、朝鮮総連・中央本部の土地・建物を落札した宗教法人の法主です。

 「祈りの場(を作ることは)絶対私の基本ですから、それだけは譲れない」(池口恵観法主)

 池口法主は、鹿児島市にある「最福寺」で護摩木を焚く護摩行で知られ、“炎の行者”としてメディアでもたびたび取り上げられてきました。

 去年1月、最福寺で護摩行に参加しているのは、阪神の新井選手です。池口法主は、こうしたスポーツ選手や政界にも幅広い人脈を持つとされ、中でも安倍総}$H$OD9G/!"?<$$8rN.$,$"$k$H$$$$$^$9!#$=$s$J0[?'$NAN!"CS8}K!
 実は池口法主はこれまで、たびたび北朝鮮を訪れています。私たちはおととし、4回目となる訪朝に密着取材していました。

 「日朝友好が進むように、ちょっとでも自分の力で何か糸口がつかめるようにならないかなと思っている」(最福寺・池口恵観氏)

 このときの6日間にわたる訪朝の主な目的は、この観音像を持って行くことでした。池口法主により「金日成主席観世音菩薩」と名付けられました。高さ150センチ、重さ50キロ。朝鮮仏教徒連盟に納められました。

 「金日成主席観世音菩薩と命名せり」(最福寺・池口恵観氏)

 一民間人である池口法主が北朝鮮に迎え入れられる背景には、朝鮮総連の後押しがあるといいます。信者でもある地方議員が仲立ちとなって、総連とのパイプができました。中でも総連のトップ、ホ・ジョンマン議長とのつながりで、北朝鮮のかなりの要人も含まれる、3人との会談も行われました。

 まず対面したのは、外務省チョウ・ピョンチョル日本担当研究員。
 「日本は懸案の拉致問題と言いますが、改めてはっきり言います。拉致問題は完全に解決されています」(北朝鮮外務省チョウ・ピョンチョル研究員)

 次に面会したのは朝鮮労働党の幹部、パク・グングァン国際部副部長。彼が持ち出してきたのが、なんと朝鮮総連の競売問題だったのです。

 「これが解決されなければ、日本とは永遠の闘いの中に入る」(朝鮮労働党の幹部パク・グングァン国際部副部長)

 このときすでに、総連におよそ627億円の債権を持つ整理回収機構が、総連本部の土地・建物を競売にかけて融資を回収しようとしていました。池口法主が最後に面会した最高人民会議・常任委員会のヤン・ヒョンソプ副委員長も、この競売問題を持ち出しました。ヤン氏は、キム・ジョンウン第一書記とも直接話すことができる立場にいる、要人です。

 「総連中央会館の問題が良好に解決できるように、積極的に誠心誠意を込めて努力してくださることをお願い致します」(最高人民会議・常任委員会ヤン・ヒョンソプ副委員長)

 北朝鮮にとっては、総連を競売で失うということは、在日朝鮮人の活動の重要拠点を失うことを意味します。このとき池口法主は、ヤン氏の要請に「わかりました」と答えたといいます。

 その後の去年7月、整理回収機構は東京地裁に強制競売の開始を申し立て、26日午前、池口法主のいる「最福寺」が落札したのです。その額、45億1900万円。その原資や落札の経緯について26日午後、改めて池口法主に聞きました。

(Q.原資は?)
 「今からです。頑張ります。皆で頑張っていこうと思う」
(Q.北朝鮮からの要請は?)
 「ヤンさんというナンバー3。あの方が熱心だった。(総連側から)頼まれたら、何十万人の在日の方々の拠点になっているわけだから、そういうところは大事に考えていかないと」(池口恵観法主)

 今後、裁判所の審査を経て正式に落札が決定しますが、池口法主は「総連から要請があれば、建物を貸すことも検討したい」としています。(26日17:06)

2013年3月26日(火)のニュース一覧

社会

政治

経済

国際

スポーツ

列島トピックス