2013.03.28 Thursday
企業の管理システムにも“中央集権”と“地方分権”
「これからは地方の時代」などといわれるなかで、「中央集権」ということばには、「すべてを“おかみ”が管理しようとするのにはむりがある」といった意味あいがふくまれるようになりました。
より客観的に捉えると、中央集権とは、政治権力が一元的に中央の機関に統合・集中していることを指します。このような意味から、一元的に管理することを「中央集権的」と表現することもあります。
情報技術の世界でも、長いこと中央集権的なしくみが存在しつづけてきました。「メインフレーム」あるいは「汎用機」とよばれるコンピュータシステムのことです。
メインフレームは、企業が基幹業務を行うときなどに、使われる大型コンピュータのことです。基幹業務とは、販売管理、生産管理、会計、人事、給与などの業務のことで、これらはどのような企業であっても必要となります。このような基幹業務を支える役割として、メインフレームのコンピュータが使われてきました。
メインフレームが中央集権的といわれるのは、さまざまなコンピュータ関連の装置が、このなかにふくまれているからです。電源はもちろん、命令などを行い頭脳にたとえられる中央処理装置(CPU:Central Precessing Unit)、それに情報を記憶する記憶装置などが、すべてメインフレームのなかに入っています。
いっぽうで、このメインフレームとつながっている端末のほうには、処理装置や記憶装置などはありません。端末で入力したことを、メインフレームが処理するわけです。こうした点も、メインフレームが中央集権的とよばれるゆえんです。
行政に中央集権と地方分権の考えがあるように、企業の業務管理でも中央集権的なコンピュータのシステムを使うだけでなく、地方分権的なシステムを使う動きが1990年代から出てきました。
コンピュータが扱う情報は、ネットワークでつながっています。そのネットワーク上に、メインフレームほど大規模ではない、ハードウェアやソフトウェアをいろいろな節目に置くことによっても、情報の処理をすることができます。
このような情報処理のしかたは、日本では「分散系」などとよばれています。情報処理を分散系にすることで、もし、ある節目にあるコンピュータが壊れたとしても、ほかの節目にあるコンピュータは動きつづけることができます。また、扱われるデータのすぐ近くにコンピュータが置かれるため、通信費用が減るといった利点もいわれています。
行政の分野では、地方分権がさけばれていながらも、中央集権の存在はいぜんとして大きなものがあります。情報通信の分野でもおなじように、分散系によるシステムが登場以来、増えていったなかで、いまもオープンフレームのシステムも使われています。
参考ホームページ
IT用語辞典「メインフレーム」
@IT情報マネジメント「メインフレーム」
コトバンク「メインフレーム」
Tableau用語集「メインフレームとは」
NEXGATE用語集「メインフレーム(mainframe)」