インタビュー第7回 地球の未来を守ることが、人間の使命。今が人間の進化の第二段階
1 地球の未来を守ることが、母なる大地と海から与えられた人間の使命
2 今が人間の進化の第二段階。
その進化の過程として水素や燃料電池がある
3 未来のクルマは安全第一。
免許もいらなくなったときがクルマの本当の進化

今が人間の進化の第二段階。その進化の過程として水素や燃料電池がある

「ヤマト」や「999」は、どういった動力・燃料で動いているのでしょうか。

松本零士僕が描く宇宙船は、すべて『重力波動エンジン』で動いています。「重力=時間」、すなわち重力が宇宙の時間を制御してるわけですから、人工重力を作れない限り、ワープはできないわけです。その重力を生み出すエンジンとして、『重力波動エンジン』というのを考えたんですね。

もう少し詳しくお話ししますと、「重力=時間」は、スパイラル(らせん形)で進行します。ですから速く動くものは遅く移動するものより時間の経過は短いから、光速のようなものすごい速さで1週間飛んだとすると、帰ってくると地球上では100年たってたなんて騒ぎになるわけです…まあそれは余談ですが。スパイラルを横から見たら波動に見えますよね。その頂点から頂点にワープすれば、時間や空間も跳躍ができるだろうと。

まあ、そういった波動理論をですね、私の弟が摩擦工学の専門家ですから、実証してくれと送ったら「あながちウソとは言えない」と。で、その『重力波動エンジン』を動かすには、燃料を燃やすくらいじゃすまないだろう。では何をエネルギーにするかというと、ヘリウム3を利用した常温核融合というのが、クリーンで超高効率なエネルギーとして期待されている。ヘリウム3は月や火星には山ほどあるはずで、「ヤマト」や「999」の時代にはとっくに実用化されてて、さらにヘリウム3すらも原始的に思えるような、何か別のエネルギーがあるはずだと。「時間=重力」そのものをエネルギーにするような、そうした技術があるんじゃないか。そう思いながら描いてたんですけどね。

そろそろ人間は“燃やす”エネルギーから卒業する時期

松本零士水素で飛ぶとは、ちょっと考えませんでしたけど(笑)、まあとにかくクリーンなエネルギーには違いないです。モノが動くには動力源が問題になるわけですけど、薪を燃やすことから始まって、石炭、ガソリンと、エネルギーはずっと進化してきた。宇宙時代には、そういう何かを“燃やす”んじゃなくて、二酸化炭素や排気ガスを出さない、地球を汚さない別のやり方が出てきてるんじゃないかなと。

今、地球の人口は64億ですけど、これが600億になったとき、毎日使う燃料による、温暖化の状況といったら目を覆うばかりの大惨事になるでしょう。自動車だけでなく、ありとあらゆる、排気ガスを出す工業設備、生産設備のすべてが、なるべく排気ガスをないようにしないと。金星やタイタンを見てごらんなさい。表面温度5~600度で、鉛だってあっという間に溶けちゃうんですよ。そういう地球にしたいかっていったら、だれもしたくない。でも、このままじゃ確実にそうなりますよ。

火を自分で起こせるようになったことで、人間は一段進化しましたね。そうした進化を、どこかでまた起こさなくちゃならない。ずっと地球上で暮らしていて、これから宇宙に出ようとしてる、今が進化の第二段階だとすれば、それにふさわしいエネルギーを人間は見つけて実用化していくでしょう。その進化の過程として、水素や燃料電池で車を走らせるというのは、静かで空気を汚さない、素晴らしい試みだと思いますね。

今はまだプラチナなどの貴金属を使っているから値段が高いですけど、おそらくはそれに代わる素材ができるはず。ガソリン車だって出た最初は今の価値に直せばとんでもない値段だったでしょうし、テレビだってこんなに薄くなったじゃないですか。いずれ燃料電池自動車も、安価で高性能なものができていくでしょう。われわれが本当にそう望むなら。これは文化も芸術も、科学も、機械工業もすべてそうなんですけど、「マインズ・アイ」…人間の心の目というものが、心に抱いたものを作り上げていくことで人間は高等生物化したわけですから。

3 未来のクルマは安全第一。
免許もいらなくなったときがクルマの本当の進化