最終処分場 候補地の地域振興策検討3月28日 18時19分
放射性物質を含む汚泥や焼却灰の最終処分場を巡って、環境省が候補地の選定方法を見直したことを受けて、28日、宮城県では見直し後初めて、県内の自治体の意見を聞く会議が開かれ、環境省の井上副大臣は、候補地への地域振興策を検討し、地元の意見を重視する考えを示しました。
放射性物質が一定の濃度を超える汚泥や焼却灰のうち、宮城など5つの県で出たものについて、環境省は新たに最終処分場を建設して処理する方針です。
このうち、候補地を提示した茨城と栃木で反対意見が相次ぎ、環境省は、先月、選定方法を見直し、すべての県で候補地を選び直すことを決め、地元の市町村長らから意見を聞く会議を新たに設置しました。
28日、見直し後宮城県で初めての会合が仙台市で開かれ、村井知事や県内の35すべての市町村長らが集まりました。
会議では、環境省の井上副大臣が「これまで地元との協力が不十分だったが、今後は地域の意向を尊重していきたい」とあいさつし、地元の意見を重視する考えを示しました。
会議では、参加した自治体から「保管場所がひっ迫しており、一日も早く方向づけしてもらいたい」とか、「地域ごとの自然条件や実情を詳しく知ってほしい」という要望がでたほか、「候補地となった自治体の負担が大きく、具体的な振興策などがないと前に進めない」といった指摘が相次ぎました。
振興策を巡っては県側がこれまでも要望していて、井上副大臣は「政府全体の問題になるので、ほかの省庁と相談していきたい」と述べ、候補地となる自治体への地域振興策を検討する考えを明らかにしました。
これを受けて、県では、候補地になった自治体に必要な具体的な振興策や、候補地をどう絞り込んでいくのかなどについて、意見を取りまとめたうえで、環境省側に示すことを決めました。
環境省は、ほかの4つの県でも、来月、市町村長の意見を聞く会議を開き、建設に向けた地元の理解を得たいとしています。
振興策「政府全体で考える」
会議のあと、環境省の井上副大臣は、市町村長から要望が相次いだ地域振興策について、「環境省単独でできることは限られているので、自治体の意見を聞いたうえで、政府全体で考えていかなくてはならないと思っている」と述べました。また、最終処分場の建設計画については、「新しい選定プロセスとして再スタートを切ったところだ。平成27年度から廃棄物を本格的に搬入させるという計画は不可能なものではない。ただ、今後は、検討したうえで新しいスケジュールを出したい」と述べたうえで、計画が遅れるかどうかは明言を避けました。
宮城県側の反応は
宮城県の村井知事は、地域振興策について、「環境省がもう少し踏み込んで発言するかと思ったが、急ぐとあつれきも生じるので、やむをえないと考える。今後の政府の取り組みに期待したい」と述べました。また、今後については、「各市町村長が『うちだけはダメだ』という発言をしないことを信じたい。候補地となる1人の市町村長に責任を押しつけず、みんなで責任を共有して突破していかなくてはならないと思う」と述べました。
大崎市の伊藤市長は「候補地となった地域だけが犠牲を受けることになると、感情が直接出てしまう。地域振興策も含めた解決策を見いだしていかないと解決できないと思う」と話していました。
丸森町の保科町長は「安全な囲いをしても、放射能は危険なものだという不安を県民は持っている。こういう対応をとることで絶対安全なのだという丁寧な説明があれば、理解はしてくれると思う」と話していました。
白石市の風間市長は「稲わらの扱いについて苦慮している。なぜこのようになったかを国には受け止めてもらい、県や市町村にすべてを押しつけないようにしてほしい」と話していました。
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