理事長「資金面で大きな追い風」 館山
2006年に特定非営利活動法人(NPO)化し、館山市内の河川と海の浄化活動を続ける「安房の海を守り育む会」(石神正義理事長)がこのほど、県から「認定NPO」に認定された。運営内容が会計面、組織面で一定の基準を満たした。全国で4万7299法人あるNPOのうち、わずか375法人(仮認定含む)しかない狭き門≠ナ、高い公益性が認められた形。認定NPOは寄付金控除の対象になることから、節税と社会貢献が同時にできるメリットがある。同会はこの税制上のメリットをばねに、活動の幅を広げたい方針だ。
所轄庁である県と国税庁が、特定非営利活動促進法第45条第1項の規定で認める制度。会計面、組織面、事業活動面など9項目の厳しい認定基準があり、これをすべてクリアしないと認定されない。県内ではNPOが1566法人あるが、認定NPOは15法人のみ。
安房の海を守り育む会はこうした基準をクリアし、公益性が高いと公式に認められた。関東エリアにも水質浄化に取り組むNPOは数あるが、同会が初の認定NPOになるという。
NPOは資金力が乏しいことから活動を持続させることが難しく、会計面ではどうしても縮小しがち。認定NPOには税制上の恩典があるため、外部からの寄付が募りやすい。認定NPOへの寄付は、特定公益法人への寄付と同様に、特定寄付金として所得控除か税額控除が受けられる。法人側にも一般寄付金の損益算入限度額とは別枠で、損金算入限度額が認められることから、NPOの運営上もメリットがある。
同会は2001年の「海の日」に発足。翌年7月から、船形地区のどんどん川に有用微生物群(EM菌)を流す活動を始め、毎週日曜日にEM菌を放流し、河川と海の浄化活動を続けている。現在、河川は宇田川、汐入川にも広がっている。
認定NPOになったことに、石神理事長は「河川と海の浄化は、持続しなければ効果が出ない。ずっと続けて効果が出たことを広く知ってもらいたい。認定は活動の資金面で大きな追い風となる」と話している。
【写真説明】浄化を訴える看板の前で石神理事長(左)と福原一事務局長=館山