スポーツ 週刊文春 掲載記事
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2年ぶりの対決でヨナが圧勝
真央は五輪までに逆転できるか

ソチ五輪まで1年を切っている Photo:Jiji

 やはり五輪女王は強かった。

 3月13日から16日(現地時間)、フィギュアスケート世界選手権がカナダ・ロンドンで行なわれた。中でも注目を集めたのは、世界選手権3年ぶりの優勝を狙っていた浅田真央、2年ぶりの出場となったキム・ヨナの久々のライバル対決だった。

「浅田はバンクーバー五輪でキム・ヨナに敗れて銀メダルに終わったあと、『ジャンプだけではなく総合力が大切』という佐藤信夫コーチの指導のもとで基礎から学び直してきた。今季は国内外すべての大会で優勝するなど成果が表れてきました。一方のヨナは進退に迷い続け、昨夏から本格的に練習再開したばかり。今回は勝てるんじゃないか、勝って来年のソチ五輪に弾みをつけたいというのが日本の関係者の思いでした。開幕前には、日本スケート連盟から、浅田に対してキム・ヨナに関連する質問を自粛するよう要請が出るなど、ぴりぴりしていましたね。それくらい周囲も対決にこだわっていました」(一般紙五輪担当記者)

 ところが終わってみれば、浅田は6位にとどまったショートプログラムからフリーで巻き返したものの、総合得点は196.47点の3位。対するキム・ヨナはショート、フリーともに1位、総合得点218.31点とただ1人、200点を超えて圧勝した。

 前出の一般紙記者は、「ヨナはブランクがあったとは思えない完成度でした。浅田はショートでもフリーでもジャンプのミスなどがあった」と出来の違いを敗因にあげる。

 だが、あるフィギュアスケート関係者は「今回の結果はもっと深刻」と言う。

「ミスの差も点数に表れていますが、問題なのは浅田がミスしなくてもキム・ヨナの点数に届かないのが分かったこと。キム・ヨナはとにかくジャッジからの評価が高くて、ジャンプは加点に次ぐ加点ですし、演技点でも、10点満点が出るほど。その結果、今回のフリーはたとえば4回転を2回飛んだ男子のブライアン・ジュベールのフリーより点が高く出ている。浅田はたとえトリプルアクセルを成功させても、キム・ヨナが失敗しないかぎり勝てない現実が浮き彫りになりました……」

 バンクーバーで涙を流した浅田は、果たして来年のソチ五輪でリベンジを果たせるのか。ライバルの壁は高い。

「週刊文春」編集部

※この記事の公開期間は、2016年03月20日までです。

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2013年3月28日号
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