立川断層:コンクリートのくいを誤認 東大地震研が謝罪
毎日新聞 2013年03月28日 11時28分(最終更新 03月28日 12時47分)
東京大地震研究所の佐藤比呂志教授(構造地質学)は28日、活断層「立川断層帯」の掘削調査で、地下に埋まった劣化したコンクリートらしき物体を断層と見誤り、「活断層があった」と発表していたと明らかにした。「断層があると考えていた場所から物が出てきた。ある種の催眠術にかかってしまっていた。大変申し訳ない」と謝罪した。ただ立川断層の存在自体を否定することにはならないという。
佐藤教授の研究チームは、立川断層(長さ21キロ)が走る東京都立川市と武蔵村山市の境界周辺で、長さ250メートル、深さ10メートルのトレンチ(溝)を掘削調査。2月に「活断層を発見した。水平方向に動く横ずれの可能性がある」と発表していた。
しかし、数日後の一般公開で、地質や土木工事に詳しい見学者が現場に異物が混じっている可能性を指摘。再調査したところ、断層と考えてきたものは、以前あった自動車工場の基礎工事で打ち込んだコンクリート製のくいだった可能性が高いことが分かった。佐藤教授は「天然の地層を判断する知識はあるが、土木工事の経験はなく、上から人工物を挿入した可能性は考えなかった」と話した。
立川断層帯は、東京都青梅市から府中市に延びる立川断層と、埼玉県飯能市にある名栗(なぐり)断層(同12キロ)からなり、大まかな位置は判明している。1万5000〜1万年に1回動くと推定されているが、過去の地震の痕跡は少ない。
佐藤教授は、東北電力東通原発(青森県)の敷地内に活断層があるかを調べる原子力規制委員会の有識者調査団の一人。調査団は2月に「敷地内の断層群の多くが活断層である可能性が高い」との報告書案をまとめている。【鳥井真平】