引き揚げる岩国商ナイン

＜第85回センバツ高校野球・第6日（27日）＞岩国商（山口）2−6山形中央（山形）

　大金星を挙げた面影が消え失せていた。１回戦で強豪・履正社（大阪）を下した初出場の岩国商だが、この日は投打にチグハグだった。まずは攻撃。山形中央を上回る毎回の１３安打を放ちながら２点止まり。４番・重岡は3安打を放ったが、その中の２度が先頭打者。主砲の前に走者をためることができなかったのが痛かった。主将の栗栖は「チャンスで打てず悔いが残る」と猛省した。

　守りではデータ不足が誤算だった。初戦では履正社を徹底分析し撃破。ところが「履正社に対しては、その試合映像は、宿舎から練習グラウンドに向かうバスに乗るたびに流し、チェックするほど情報が豊富だった。でも、山形中央はデータが少なすぎた」（部員の一人）。中内監督が分析し、栗栖からナインへデータ＆傾向が伝達される。だが、山形中央はこの日が今大会初戦で、もちろん岩国商とは初顔合わせ。相手の実力を読みきれなかった。

　象徴的だったのは１点先制した直後の５回。エース・高橋が無死一、二塁のピンチを招き、８番・高橋和に右中間への2点適時三塁打、続く高田に右越え適時三塁打を浴び、一気に１ー３と逆転された。６回にも６番・羽賀に左越え適時二塁打を献上。下位打線に長打を許すのは想定外で、高橋は「ここまで振ってくるとは思ってなかった」。中内監督は「データを見ることができなかった」と背負い込んだ。ただ、センバツに出場した経験は大きい。雪辱までに時間はある。栗栖は「練習し、夏に戻ってくる」と誓っていた。