市民公聴会:電力業界から資金提供のNPO、4会場で発言
毎日新聞 2013年03月28日 02時32分(最終更新 03月28日 02時53分)
九州電力の「大量動員」が明らかになった原子力委員会の05年の公聴会は、他に全国4会場で行われたが、その全てで電力業界側から資金提供を受けたNPOやそのグループのメンバーらが発言していた。発言者は毎日新聞の取材に「自分の意思で出席し意見を述べた」と話すが、原子力委員会関係者は「賛成派も反対派もそれぞれ動員を掛けていた。発言者は賛成、反対のバランスを取るよう配慮した」などと証言した。
公聴会は05年8月18〜26日、青森、福島、佐賀、福井、東京で行われ、135〜271人が参加。参加者が挙手して指名する方式で、各会場では21〜30人が原子力政策大綱案への賛否を述べた。
このうち青森で発言した3人と、福島、東京の各1人は、電力業界側からの多額の事業資金提供が明らかになったNPO法人「あすかエネルギーフォーラム」のメンバーか、同フォーラムのネットワークに参加する団体のメンバーだった。当時あすかでは現原子力委員の秋庭悦子氏(64)が理事長を務めていた。
また福井の2人は、秋庭氏もメンバーで電気事業連合会が資金提供し人的支援もしていた任意団体「フォーラム・エネルギーを考える」(ETT)のメンバーが代表を務める団体に所属していた。
発言したNPOメンバーらは各会場で「電源3法交付金のメリットを分かりやすく説明してほしい」「放射線への不安が来るのは知識がないから。教育が一番大切」「原子力発電は必要不可欠」などと意見を述べていた。
一方、当時の原子力委員会関係者は「人を(動員して)入れているのは賛成派も反対派も一緒。『やらせ』はどっちもある」と説明した。原子力委員会は「現在、事実関係を調査している」と回答した。【杉本修作、向畑泰司、町田徳丈】