三橋貴明はいつ詰むか(11)
(注)このように、チャンネル桜を始めとするさまざまな論客の言説を分析し、批判を加えているのは、彼らが憎くてやっていることではありません。もちろん、私は彼らがしたことを怒っています。しかし、この批判の目的は、彼らの歪んだ言説によって作り出された「安倍晋三は唯一無二の愛国・保守政治家である」とか「自民党は真の保守政党である」といった幻想を打ち砕き、現在日本が直面している国難にあたり、みなさんにもっと客観的な視点から、日本の未来のための柔軟な選択を行ってもらうために他なりません。参院選に向けてこのような言論への批判や監視はますます欠かせない作業になっていきます。
「善悪二元論」と「スケープゴート」による、安倍政権の正当化。
彼のブログを分析しても、毎回、同じことの繰り返しになるので、しばらくお休みしていた「三橋貴明はいつ詰むか」のシリーズですが、この「インチキな仕立て屋」は、相変わらず「恥」という概念を持ち合わせてはいないようです。
ひさしぶりに覗いた彼のブログですが、はらわたが煮えくり返ります。
こういうインチキな人間は、潰すべきときに徹底的に潰しておかないと、これまで以上に大きな害を日本に与えることになるでしょう。
彼の本質を知った方たちは、大きな糾弾の声を挙げていただきたいと思います。
●今日の三橋貴明ブログ
アベノミクスで超大国日本が復活する!
http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-11498945562.html
●今日の善悪二元論&スケープゴート
●今日の「見ざる・聞かざる・言わざる」
ご存知のように、安倍政権は、「三本の矢」と彼らが呼ぶ、三つの基本方針からなる「アベノミクス」と呼ばれる経済政策により、デフレ脱却を目指しています。下の三つの基本方針です。
1. 金融緩和
2. 積極財政
3. 成長戦略
小泉政権は金融緩和を行いました。(フリードマンという人が考えた「マネタリズム」と呼ばれる手法です。)
麻生内閣では積極財政を行いました。(ケインズという人の考えた手法です。)
しかしそれだけでは、デフレを脱却することはできませんでした。
デフレ下で、需要が逼迫する中、金融緩和だけを行っても、資金が滞留するばかりであり、市中にお金が流れていきません。そこで、政府が財政出動をして公共事業を増やすことにより、需要を創出する必要が生まれます。公共事業で例えば建設業者が潤えば、そこからドミノ倒しのように需要が喚起されていきます。
ですから、アベノミクスは、ある意味においては、正しい経済政策であると言えます。
しかし、問題は三つ目の矢、「成長戦略」です。二本目の矢の「積極財政」は、国家が障壁によって守られており、国内経済が閉じた状態であってこそ、もっとも大きな効果(乗数効果)を上げるのですが、グローバル化によって、経済が開いてしまうと、外国にお金が流れていってしまい、国内にお金が効果的に循環していきません。TPPに参加しようものなら、アベノミクスは絶対に成功しないのです。
中野剛志さんが次のように語る通りです。
そこでアメリカのご機嫌を直そうとして、TPPに参加したとしたら、どうなるでしょうか。
アベノミクスで創出した需要や雇用は、TPPによる制度変更や外国企業の参入によってアメリカに漏出します。あるいは、競争激化のデフレ圧力で、賃金が上がらなくなります。そうしたら、せっかくアベノミクスを講じても、その目的であるデフレ脱却は、難しくなるでしょう。
したがって、三つ目の矢「成長戦略」が、新自由主義的な「構造改革」を意味するものになってしまうと、二本目の矢「積極財政」が折れ、(あるいはあさっての方向に飛んでいき)、アベノミクスの全体は、
「金融緩和+構造改革」
という小泉政権と実質的には変わらない経済政策になります。
そして、TPPによって日本人の貯蓄が海外へと開放されることで、日銀がお金を刷ったり日本政府が借金をすることで、アメリカ国債を買い支えるというバカバカしい話につながっていくのです。
強い日本が復活するどころか、日本を肥え太らせて、売り渡すだけに終わってしまいます。
だから、三つの矢「成長戦略」の中身が厳しく問われてくるのですが、この中身を決定するのが、「産業競争力会議」であり、安倍晋三はこれを新自由主義者で固めました。
中野剛志氏は次のように嘆いています。
安倍政権の経済政策の司令塔「経済財政諮問会議」「産業競争力会議」「規制改革会議」は、考えられうる限り、最悪といってよいメンバーがそろいました。全員、新自由主義者・構造改革論者です。もちろん、いろんな意見があっていいとは思いますよ。でも、全員、構造改革論者にすることはないでしょう。
そして、3月15日の安倍晋三によるTPP交渉参加の翌日、菅義偉官房長官は街頭演説で次のように語っています。
菅官房長官は16日、千葉県柏市で街頭演説し、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加について、「日本経済を押し上げる3本目の矢が高く打ち出された。農業関係者の心配はあるが、守るべき点はしっかり守り、日本経済を再生させる。百の言葉より一つの結果だ」と述べ、農産物の関税撤廃を例外扱いとする交渉を進めることで、農業への配慮と経済成長を両立させる考えを強調した。(2013年3月16日20時51分 読売新聞)
このように、安倍政権の官房長官が、TPPが、アベノミクスの三つ目の矢である「成長戦略」の一部であったこと、つまりアベノミクスとはTPPのような構造改革を前提として作られた経済政策であったことを認めているのです。
ですから、アベノミクスは、最初から、三橋氏が語っていたような富国強兵的な「日本の国民経済を強化するもの」ではなかったのです。
そのことが、既に明らかになっていながら、なぜ、三橋氏は
などと平気でウソをつくのか。国民を欺くのか。
TPPや道州制のような構造改革を前提としたアベノミクスは、国民に利益をもたらすどころか、外国や一部の大企業に肥え太らせた日本を売り渡すだけのものにすぎません。これを超大国日本を復活させるための経済政策であるかのように吹聴することは、安倍晋三を愛国者として祭り上げるのと同じ悪質なプロパガンダです。
そして、三橋氏はいまだに産業競争力会議のメンバーを指名したのは、安倍晋三自身であるという基本的な事実を無視しています。
「『成長戦略』にかこつけ、インフレ対策である構造改革を実施しようとしている」のは「一部の人たち」ではなく、安倍晋三自身です。
三橋氏はブログの記事を下のような言葉でしめくくっています。
この「インチキな仕立て屋」は「ガチンコ」などという言葉を使って拳を振り上げながら、竹中のような脇役を叩くばかりであり、ラスボスである亡国の大魔王、構造改革の本丸、安倍晋三とは決して対決しようとはしません。
本日も、やはり、下の三橋貴明氏自身の言葉を、彼に対して、投げかけないわけにはいきません。
国民を「騙そうとしていた」「騙している」わけですから、あなた方は民主主義国家において情報産業で生きる資格がありません。もし、国民を騙そうとしていたわけではないのであれば、はっきり言って知能、知識不足です。いずれにせよ、あなた方に日本の情報産業における職はありません。
●その他の参照記事
「インチキな仕立て屋」と「正直な子ども」
インチキな二人の仕立て屋の大いなる自己矛盾
三橋貴明氏は何がしたいのか
三橋貴明氏は嘘をつくのはおやめなさい
警告: 安倍政権の新自由主義的本質を隠蔽しようとする情報工作について
三橋貴明氏への公開質問状
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コメント
WILL最新号のTPP反対の中野剛志さん執筆記事のみ最後に「個人の見解です」と注意書きがしてあります。
通販のCMじゃあるまいし!
WILLも敵に回りました。
花田編集長を糾弾しましょう!
投稿: ああ | 2013年3月28日 (木) 05時03分
WJF様
はい。そのとおりです。構造改革を進めるために外圧を利用しようとTPPに参加しようとしているのは安倍本人そのものです。
三橋ブログというのは異常な空間で、三橋本人は自分に都合の悪いことは一切隠して、三橋に都合の悪い意見を言うものは次々とアク禁にして、読者が真実に触れられないようにし、自己を美化していますので、読者は三橋ブログを読んでいるだけではおかしさに気づかなくなってしまうんですよ。まさに三橋本人が言論弾圧と情報操作を行い人類を支配するビッグブラザーなんです。信者というのは相手を神格化していると、ちょっとのおかしさは勝手に合理化してしまうものなんです。
投稿: だめだめわんこ | 2013年3月28日 (木) 00時35分
だめだめわんこさん
よくもまあ、恥ずかしげもなく、「インフレ対策である構造改革を実施しようとしている『一部の人たち』」と書けますよ。だって、構造改革進めようとしているのは「一部の人たち」じゃないじゃないですか。三橋ブログのコメント欄の人々も三橋がおかしいことに気づかないんでしょうか。
投稿: WJF | 2013年3月27日 (水) 23時55分
三橋こと本名中村貴司はこの前の2010年の参院選のときに、自身も既婚者で30代の既婚女性とW不倫を、しかも選挙期間中にもかかわらず、支持者を裏切って、公より私を優先し、やらかしたカスなので、それで選挙の便宜を図ってくれた、安倍晋太郎秘書であった垣内昭氏の顔を潰して怒らせたんで、もはや自民党からは出馬できないんです。それであるのもかかわらず、未だにそのことを隠して読者を騙して、政治活動資金を集めてるの。
選挙での幹事長だった宇田川氏の発言の引用:
・・・選挙と女どっち取るんや! ... 支援している横で不倫を楽しんで自分の選挙をしない候補者に対して・・・なお、政界の重鎮であり、それまで三橋を支持していたK氏も嘘と思って、本人に「家庭を守れない人間は、国を守れないが、女と家庭どちらをとるか」 とK氏の事務所の応接室で聞いたところ 「女」 と即答し、それ以後三橋の支援をやめた。
以下私の考え。
三橋が安倍批判しないのは、もしかしたら安倍自民党から公認されることを期待しているのか、安倍サイドからTPPを実現できるように餌(公認もしくは内閣機密費)をもらっている可能性かあるのではないかな?あれでも10万人の信者を抱えるアルファブロガーだし。
投稿: だめだめわんこ | 2013年3月27日 (水) 23時12分
2channelgeekさん
おひさしぶりです。三橋の悪質さは、まさに「彼がTPPに反対しているという事実」にあります。ほとんどの人は、彼がTPPに反対しているから「まとも」だと誤解してしまう。ぜひ、三橋に関する私の過去の記事を全部読んでいただきたい。そして考えていただきたいと思います。
投稿: WJF | 2013年3月27日 (水) 21時59分
いやあWJF氏がこのようなブログを持っているとは。私も最近のチャンネル桜は可笑しいと思っていたところです。とくに上念。アイツは昨日読んだ他人の本の感想文を言っているにすぎない。アベに反対するやつは偽装コミンテル認定とかウザすぎる。三橋氏はまだマトモなほうですよ。私も会計の知識がありますから、ネット上の三橋批判に同意するところもありますが、彼はTPPに明確に反対してます。アベの幇間というには可哀相な気がします。とは言え、最終的に日本は自称”保守”政治家に背中を刺されるオチというのは容易に予期できます。在特会の桜井氏がチャンネル桜を嫌う理由というのも保守政治家の幇間に成り下がったからです。
国家とは本来、その中で経済が完結できる規模の大きさで成り立っています。アベ政権はさっそくTPPに向けて農家を潰す代わりに補償する気マンマンですが、製造業の海外逃避は加速され、農業も無く、いったい何が残されるのでしょう?それで国家と言えるのでしょうか?
投稿: 2channelgeek | 2013年3月27日 (水) 21時51分