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黒き鎧に背中を許した日
 「そうそう、背中を預けるようにね~」

 白衣の魔女の指示通りに謎の金属で出来た漆黒の鎧に背中を預ける俺。

 「ん~、やっぱりゆーくんに頼んで正解だったね~。数値が基準を大幅に凌駕してるよ~」

 「まだこれがどんなものなのか説明を受けていないんだが?」

 「そんなのはあとでもできるよ~、いまは装着とパーソナライズが先なのさ~」

 演じているのかマイペースなのか、よくわからない女だな・・・・・・。
 某宇宙人インターフェス並みのスピードで空中に投影されたキーボードをタイピングしていく魔女。

 「よっと、さすが私~。常人なら二日掛かるところを二十分で終了~」

 本当になんなんだこいつは、機械関係のESP能力者か?

 「それじゃあメニュー画面が出るように念じてみて~」

 メニュー画面?RPGのステータスウィンドウみたいなものか?
 顔の前に出るように念じてみる。すると、ピコンッと言う音を立てて予想通りステータスっぽいのが出てきた。



 ≪機体名称:全てを喰らう覇者(オール・イーター)

 ≪搭乗者:竜胆勇輝≫

 ≪製作者:本郷理紗≫

 ≪武装一覧≫ ≪機体性能≫ ≪通信回線≫

 ≪機能一覧≫ ≪損害状況≫ ≪待機形態≫

 ≪奪取能力≫ ≪獲得情報≫ ≪任務状況≫



 「製作者ってお前か?」

 「そーだよ~?」

 「まだ自己紹介してもらってねぇぞ」

 あの時は名前と住所しか聞いてなかったからな。

 「私の名前はそこに書いてある通り本郷(ほんごう)理沙(りさ)!機械関係のESP能力者で、ゆーくんに恋する悪の研究者で~す!」

 「ふ~ん」

 最後の方はどうでもいいや。

 「アァァァァァァァァ―――――――ッ!お姉さんの一世一代の告白がスルーされたぁぁぁぁぁぁぁぁ!振られちゃったよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

 ・・・・・・あれ?
 なんかマジ泣きしてるんですけどこの人。

 「お、おい・・・・・・」

 「嘘泣きじゃないもん、ホントに好きなんだもん、イジイジ」

 薄暗い室内の片隅でのの字を書く白衣の美少女、なんか変な絵が出来上がった。
 ここで俺にどうしろと?面識ほとんどないのに好きとか言われても正直反応に困るんですけど。

 「どうせゆーくんは覚えてないだろうけどね、ゆーくんはお姉さんの命の恩人なんだからね~」

 文章で見るといじけているように見えないんだけど、声音はなんか寂しげな声だ。
 過去現在振り返っても銀髪美少女は記憶にないんだが?

 「お姉さん、ESP能力を手に入れる前は金髪碧眼の美少女だったんだからね!ちなみにゆーくんより三歳年上!」

 年齢はスルーするとして、金髪碧眼命の恩人金髪碧眼命の恩人金髪碧眼命の恩人金ぱt・・・・・・あ。

 「もしかして、九年前のクリスマスの夜の時の!」

 「ヤッター!ピンポンだよー!覚えててくれたんだねー!」

 ガバッと抱き着いてくる理紗さん、いや昔みたいに呼び捨てで理沙と呼ぼうか。
 鎧越しになるけど柔らかい豊かな双丘が俺の胸の上で押し潰される。
 そう言えばあの時もゆーくんゆーくんって言ってたな。

 「でもあれくらいで命の恩人って―――」

 「むむむむむ?もしかしてゆーくん、一部を思い出してないのかな~?」

 「それってどういう―――」

 「気にしない気にしない!」

 思い出していないことがあるみたいだからそれが何か聞こうと思ったが、理紗に無理矢理言葉を止められてしまった。

 「それにしても、まさかヤクザの誘拐事件から救出したのが、まさかこんなことになるなんて」

 幼馴染に劣等感を持ち出したのはここ五年くらいだったと思うんだけどな。

 「それでそれで、お姉さんの告白を受け入れてくれる~?」

 ・・・・・・なんかほのぼのとしたしゃべり方だから忘れていたが、返事をしないといけないんだような。

 「その、保留ってことで」

 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!」

 子供っぽい叫び声が薄暗い室内で反響し続けた。

















 ≪武装一覧≫

 ≪異形の顎(プレデター・ソード)
 ・この機体の初期装備であり、この機体には必要不可欠の武装。縦に裂けた竜の口のような大剣。捕食行動を行える。



 ≪機能一覧≫

 ≪異能吸喰(スキル・アブソーブション)
 ・異形の顎(プレデター・ソード)か搭乗者が食べたものから有益な能力や技能を奪う、または開発することができる。生物無生物は問わない。
 手に入れた能力などは≪奪取能力≫に記載される。

 ≪悪食の王グラトニー・オブ・ベルゼバブ)
 ・なんでも食べることができるようになる。たとえ放射性廃棄物、実体のない熱エネルギーや河豚を丸々一個食べたって毒にはならない。
 人間や汚物を食べるなどと言ったことで発生するであろう忌避感を狂わせる効果もある。
 味覚も変化はするが不味いものは不味いまま。



 ≪機体性能≫

 ≪準音速飛行ユニット≫
 ・音速の一歩手前のスピードまで出せる飛行ユニット。ホバリングから急旋回急停止など、トンボの性能を模倣した点がある。さらに高速によって発生するGをほとんど軽減することも可能。
 二対ある板状の紅いエナジーウィングで、トンボの翅をご想像ください。

 ≪特殊電磁装甲≫
 ・あらゆるエネルギーから身を守ることが出来るエネルギー展開装甲。
 衝撃、高音、電気、炎熱、冷気など防げるものはetc。隕石が直撃したって無問題。

 ≪超長距離索敵装置≫
 ・地球の約三分の一を見渡せるアホみたいな装置。
 敵性感知距離はさらに三分の一になるが、景色を見渡せるのは結構いいものである。



 「なんだこの化け物スペックは。チート?」

 「(`・ω<)☆テヘペロ」

 地下の訓練施設のような場所で試運転をしてみたが、もう驚きの連続だ。
 さすがに急加速で音速を超えることは不可能なようだが、それでもこの飛行能力や防御能力には目を見張るものがある。

 「最強じゃねぇか。人間が使えるパワードスーツの領域を遥かに超えているぞ」

 完全に使いこなすにはそれなりの訓練が必要だろうが、このオーバースペックは汎用性が高い。何せ初めて乗ったのにあのスピードで壁に衝突することがなかったんだからな。
 この機動力と防御力、まさに唯一の武装にある略奪者(プレデター)の名に相応しいかもな。
 ESP能力者なんて目じゃない。まさに蹂躙することができる。

 「いいもらいものをした」

 「ゆーくんに気に入ってもらえて嬉しいよ~」

 しかし、気になることがある。

 「理紗、お前はこれを俺に渡して、一体何を望む?」

 俺の言葉に彼女は―――










『全てを喰らう覇者』(オール・イーター)
 漆黒の全身装甲のどこか禍々しい機械的な騎士甲冑の様な鎧。
 背中には飛行ユニットが搭載されたバックパックのようなものが、額には赤く光るハイパーセンサーのようなものが取り付けられている。
 フェイスマスクを消したりすることもでき、普段は黒い鎖に真紅の獣の牙のようなものがついたペンダントになっている。


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