「1票の格差」の是正に動かない国会に対して、司法がこれまでになく厳しい指弾を繰り返し、強く改革を求める結果となった。
昨年12月の衆院選をめぐり、全国の高裁・支部で審理されていた計16件の1票の格差訴訟の判決が出そろった。14件が違憲判決で、うち広島高裁と同高裁岡山支部は選挙の無効も言い渡した。同高裁は「最高裁の違憲審査権が軽視されている」と指摘した。
政治的な混乱を避けるため、広島高裁は猶予期間を経た後に効力が発生する判決を出したが、岡山支部は混乱より投票価値の平等を重視し、即時無効とした。
岡山の判決には再選挙のあり方をどう考えるかなど丁寧な説明がほしいところだ。しかし、違憲と判断しても無効とはしないこれまでの「事情判決」から踏み込んだ判決が2件出たことは、司法からの最後通告と受け止めるべきだ。
国会はまさに崖っぷちに立たされた。16件すべてが上告され、最終的には最高裁が統一判断を示す見通しだが、まず小選挙区の「0増5減」をただちに実現させ、違憲の状態を解消すべきである。
そのうえで、抜本改革を早急に進める必要がある。ここでまた小手先の数合わせに終始し、選挙のたびに最高裁の判断を待つような対応が続けば、立法府としての信頼を完全に失ってしまう。
最高裁は1票の格差が最大2.30倍あった2009年の衆院選を「違憲状態」と判断した。昨年11月に小選挙区で「0増5減」する法律が成立したが、新たな区割りが間に合わず、翌月の衆院選では格差が2.43倍にまで拡大した。
格差是正をめぐる与野党協議が難航するのは、多くの課題を一緒に論議するからだ。各党の利害調整が最も難しい比例代表の定数削減の幅などで合意が得られない限り、他のすべての選挙制度改革が実現しないという現在の進め方では、今国会も成果なしで終わる公算が大きい。
1票の格差の是正には都道府県に配分する小選挙区の数や区割りの見直しが不可避であり、これを先行させるべきである。
最高裁の判決は早ければ夏にも出る見通しだ。仮に選挙無効とするのであれば、その後の混乱をどう抑えるのか。無効にしないのであれば、高裁の2件の無効判決にどう反論するのか。どちらにしても、違憲審査権のあり方にかかわる、極めて重要な判断となる。
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