メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

トピックス
このエントリーをはてなブックマークに追加
mixiチェック
一票の格差―異様な政治が裁かれた

あらためて、この国の政治の異様をおもう。違憲の選挙で議席をえた国会議員が法律や予算をつくり、違憲の議会が選んだ内閣とともに国のあゆむ方向を決める。これを異様といわず何と[記事全文]

原発防災計画―福島の経験をくみ取れ

原発の事故に備え、立地地域や周辺自治体がつくる防災計画が遅れている。大きな地震や津波がまたいつ起こるかわからない。備えは大切だ。ただ、拙速では意味がない。福島の経験を十[記事全文]

一票の格差―異様な政治が裁かれた

 あらためて、この国の政治の異様をおもう。

 違憲の選挙で議席をえた国会議員が法律や予算をつくり、違憲の議会が選んだ内閣とともに国のあゆむ方向を決める。これを異様といわず何といおう。

 一票の格差をめぐる高裁判決がそろった。最高裁から「いまの議員定数配分は法の下の平等に反する状態にある」と指摘されながら、1年9カ月後に同じ配分のまま行われた昨年の衆院選に関する一連の裁判だ。

 この期間では国会が対応できなかったのもやむを得ないとして、なお「違憲状態」にとどまるとした判決が2件あった。

 いかにも手ぬるい。立法府の明らかなサボタージュを、司法が追認してどうするのか。

 残る14件は、是正のための時間はあったと述べ、一歩進んで「違憲」の結論を導いた。うち2件は、論理の積み上げがやや乱暴なのは気になるが、はじめて「違憲・無効」に踏みこみ、選挙のやり直しを求めた。

 決着は今秋にも予想される最高裁判決を待つことになる。

 憲法がかかげる「正当に選挙された国会における代表者」とは何か。国民主権とは、民主主義とは、法の支配とは。

 裁判をとおして根源的な問いが突きつけられているというのに、政治の側の認識の浅さ、危機感の薄さは驚くばかりだ。

 あいもかわらず、どんな仕組みにすれば自党に有利か、政局の主導権をにぎれるかといった観点からの発言がなされ、「裁判所はやりすぎだ」と見当違いの批判をくり出す。

 「国権の最高機関」であるためには、民意をただしく反映した選挙が実施されなければならない。この当たり前のことが、なぜわからないのか。

 0増5減に基づく新区割り法を、まず成立させる。そのうえで、これは緊急避難策でしかないとの認識にたち、最高裁が違憲の源とした「1人別枠制」を完全に排する抜本改正をする。

 それが政治の当然の務めなのに、自分らに都合のいい制度を続けるために、憲法を変えてしまおうという動きがある。

 自民党の憲法改正草案には、「各選挙区は、人口を基本とし、行政区画、地勢等を総合的に勘案して定める」とある。

 考慮する要素を増やすことで国会の裁量の幅をひろげ、司法によるチェックが働きにくいようにしよう――。そんな思惑がすけて見える条文だ。

 政治は、選挙制度は、だれのためにあるか。もちろん国民・有権者のためにある。この原点をとり違えてはならない。

検索フォーム

原発防災計画―福島の経験をくみ取れ

 原発の事故に備え、立地地域や周辺自治体がつくる防災計画が遅れている。

 大きな地震や津波がまたいつ起こるかわからない。備えは大切だ。ただ、拙速では意味がない。福島の経験を十分にくみ取り、実効性のある対策を講じる必要がある。

 防災計画を備えておくべき重点区域は、国の指針改定で従来の半径8〜10キロ圏から30キロ圏へ広がった。対象の自治体は21道府県136市町村に及ぶ。

 このうち、当初の期限だった3月18日までに計画をまとめたのは13県57市町村。3割は4月以降にずれ込みそうだ。

 策定が進まない原因のひとつは、計画のもとになる原子力規制委員会の作業の遅れだ。

 大まかな指針は昨年10月に決めたが、避難の基準となる放射線量の数値などの決定は今年2月までずれこんだ。

 いまも、緊急時の放射線量の計測方法、甲状腺への被曝(ひばく)を防ぐ安定ヨウ素剤の服用手順など詳細は決まっていない。

 ヨウ素剤は薬事法上、内部被曝を防ぐ薬として明確に位置づける手続きも要る。この春にも認められる方針だが、政府全体で、こうした指針の詰めと必要な法整備を急ぐべきだ。

 むろん防災計画は、いざ重大な事故が起きてしまった際に、きちんと実行できなければ意味がない。

 たとえば、放射線量が高い地域から住民を避難させるバスをどう手配するのか。県外から支援してもらう場合、運転手の確保や被曝回避に誰が責任をもつのかといった細部が大切だ。

 自治体側は、実践的な訓練を重ねたりして、問題点を洗い出しながら改定を重ねていくことが求められる。

 とはいえ、新しく対象地域に指定された自治体をはじめ、ノウハウがない地域も多い。福島県の被災自治体の経験を共有する場を設けてはどうだろう。

 事前の計画と実際の避難とでどんな違いが生じたのか。県外避難や広域連携にはどのような課題があるのか。

 福島県内の市町村は、避難先での行政機能やコミュニティーの維持、除染問題など、いまなお困難な課題に直面し続けている。そうした生の体験に直接触れることで、学べるものは多いはずだ。

 そのうえで、周辺人口が多かったりして、避難が実質的に不可能な原発については閉鎖・廃炉の対象にすべきだ。

 最大の防災対策が、できるだけ原発を減らしていくことであるのは、言うまでもない。

検索フォーム

注目コンテンツ

  • ショッピングバッテリー切れを回避!

    iPhoneもiPadも同時に充電

  • ブック・アサヒ・コムマラソン走って2万8千ドル

    太った犬より遅いと言われて

  • 【&M】ちょっと変わった桜の写真

    桜を撮影するときの参考に

  • 【&w】前田典子さんが語る、ウルル

    オーストラリア・ノーザンテリトリー

  • 朝日転職情報

  • 就活朝日2014