貧困ビジネス:規制条例、埼玉県で成立…全国初
毎日新聞 2013年03月27日 21時46分(最終更新 03月27日 22時30分)
生活保護受給者の保護費から不当に利益を得る「貧困ビジネス」を規制する条例案が27日、埼玉県議会で可決、成立した。生活困窮者が入所する無料低額宿泊所などの運営や契約内容を透明化し、悪質事業者を排除するのが狙い。貧困ビジネスの事業内容を規制する条例制定は全国で初めてで、10月1日から施行する予定。
劣悪な環境の施設に受給者を住まわせたり、生活保護費を「ピンハネ」したりする悪質事業者の事例が全国で相次いだことから、自民党県議団が11年12月から条例化を検討してきた。
条例では、2人以上の保護費受給者が入居する施設事業者は施設開設を届け出ることを求める。そのうえで、契約書を県に提出する▽一つの部屋を二つ以上の世帯に分割しない−−ことなどを求める。知事は違反した事業者に勧告でき、従わない場合は業者名を公表する。
現行の社会福祉法には無届け事業者に対する罰則がない。このため、今回の条例も無届け事業者への事業停止命令などを盛り込めず、条例独自の規制に反した場合の勧告、公表にとどまった。
住居による生活困窮者支援に取り組む特定非営利活動法人「自立生活サポートセンター・もやい」代表理事の稲葉剛さんは「条例は第一歩になるが、入居者をアパートに積極的に移す取り組みを同時に行わなければ、受給者の権利が守られない」と指摘している。
【西田真季子】