Updated: Tokyo  2013/03/27 20:34  |  New York  2013/03/27 07:34  |  London  2013/03/27 11:34
 

日銀総裁:2年念頭に必ず日銀の責任で達成したい-物価目標2% (2)

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  3月26日(ブルームバーグ):日本銀行の黒田東彦総裁は26日午前、衆院財務金融委員会で「通貨及び金融の調節に関する報告書(半期報告)」の概要説明を行い、関連質疑に臨んだ。この中で、日銀が掲げる物価上昇率2%の目標について「2年を念頭に置いて、必ず日銀の責任において達成したい」と述べた。

総裁は「これまで以上に大胆に質的、量的な金融緩和をする」と強調。日銀による市場の期待への働き掛けについて「デフレ期待から2%のインフレ期待に変えることで、設備投資や個人消費にもプラスに効いてくるのではないか」と指摘し、「期待外れにならないように量的、質的な緩和をする」と述べた。また、「マネタリーベースの拡大は必要だが、それだけでは十分ではない。質的な緩和も重要だ」と述べた。

具体的な政策では、現在3年までとしている買い入れ対象国債の年限を5年に拡大すべきかどうか質され、「イールドカーブ(利回り曲線)を全体としてどのようにして引き下げるか、その際、あらゆる選択肢を検討課題とする。ご指摘の点も当然、検討課題となる」と述べた。

さらに、国債買い入れが「やや短期、中期に偏っているとすれば、価格形成に影響が出る可能性がある」とし、「その点に十分留意して、バランスが取れた形でイールドカーブ全体が低下するように量的、質的な緩和をする」と語った。

国債買い入れ残高が日銀券発行残高を上回らない範囲にとどめる「日銀券ルール」については、「既に日銀の長期国債保有残高は日銀券発行残高を上回っている」と指摘。「撤廃すると言ったことはない」としながらも、「撤廃を含めて検討対象になる」との見解を示した。

バランスシートの資産側も重要   

また、「毎月グロス(総額)でいくら買うかも金融調節上は重要な要因だが、金融政策の効果という面ではストックで見ていく必要がある」と指摘。「長期国債にしても短期国債にしても、ストックがどう動くかがイールドカーブを下げる、あるいは指標となる金利を下げる上で重要な要素だ」と述べた。

その上で、来年から毎月13兆円の資産を購入する「期限を定めない資産買い入れ」についても、「うち10兆円は短期国債で、3-6カ月で償還されるので、グロスでいくら買っても残高はすぐにフラットになる。それに対し、長期国債は残存期間が長いので、ストックが増加する」と述べた。

さらに、「日銀のバランスシートの負債側は非常に分かりやすい。マネタリーベースも日銀券と日銀当座預金が大宗なので分かりやすい。しかし、資産側は輪番オペで買っている部分と資産買い入れで買っている部分がどういう状況になっているか、一見分かりにくい」と指摘。「量的、質的緩和を進める上で負債側のマネタリーベースも重要だが、資産側も重要だ」とした上で、資産買い入れ等基金における長期国債買い入れと輪番オペを統合する案について「検討に値する」と述べた。

出口のリスクも十分勘案する

一方で、「マネタリーベースと物価の関係はかなり遠くなっている。マネタリーベースを増やすだけで直ちに物価が反応することは相当難しい」と指摘。その上で「量的、質的にさまざまな工夫を行うことによって実体経済に金融緩和を浸透させるとともに、強いコミットメントで期待に働きかけることが必要だ。そうしたことによって、1日も早く物価安定目標を達成したい」と述べた。

金融緩和の出口政策に関しては「物価 がまだマイナスの中で出口うんぬんするのは時期尚早」としながらも、「金融政策運営の際、そうした問題やリスクについて十分勘案する」と述べた。

白川前総裁の時代から6人の審議委員が残っていることについては「私自身は1票しか持ってないが、政策委員会メンバーは物価の安定をもたらし健全な国民生活に資するように政策を運営すると法的に定められている」と指摘。「また、2%の物価安定目標を決定した委員会でもあるので、十分審議すれば、適切な金融政策運営ができると信じている」と語った。

長期金利上昇の影響

長期金利の上昇が経済に与える影響では「インフレ期待が上昇する中で名目成長率と平仄を合わせる形で長期金利が上昇すれば、経済に大きなマイナスの影響を与えることはない」と表明。一方で、「金融システム不安や財政の持続可能性に対する疑念が起こると、長期金利が実勢を離れて上昇する」と述べた。

その上で「財政の持続可能性を高めるような努力を政府にしてもらうとともに、金融システムの安定については金融庁と連携し、安定に努めたい。そうしたことにより、不適切な長期金利の上昇により経済にマイナスの影響が及ぶのを避けることができる」と語った。

岩田規久男副総裁は2年で物価安定目標の2%を達成できなかった場合の責任の取り方について、あらためて「最高の責任の取り方は辞職」との考えを示した。また、物価安定目標を変える可能性に関して「絶対に変えないというわけではないが、5年でそうなるような局面はあまりないだろう」と述べた。

記事についての記者への問い合わせ先:東京 日高正裕 mhidaka@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:Paul Panckhurst ppanckhurst@bloomberg.net;大久保義人 yokubo1@bloomberg.net

更新日時: 2013/03/26 13:08 JST

 
 
 
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