【ソウル１７日＝角南圭祐】　「人類の宝とも言える日本の平和憲法を守り、韓国と統一後の朝鮮半島にも平和憲法をつくろう」と１７日、韓国ソウル市の西江大学で韓国人主体の「平和憲法市民連帯（日本名・韓国９条の会）」結成式があった。韓国の知識人や平和人権運動家らが加わり、日本各地の「９条の会」などからも３０人以上が応援に駆けつけた。

　会の顧問となった民族和合運動連合の朱宗桓名誉代表は「日本の平和憲法は太平洋戦争の後始末として制定された。単なる国内法ではなく、世界に対する国際的約束としての性格を持つ。内政干渉ではないと確信している」と運動の理由を説明した。

　また発起人の１人、金承国・平和作り代表は「韓半島（朝鮮半島）で統一憲法を作らなければならない。これまで韓国では統一憲法について豊かな論議がされてきたが、平和憲法を目指すものではなかった。軍隊を無くそうというと、韓国社会ではとんでもないという反応が来る。それを乗り越え、日本とコスタリカの憲法を参考にした平和憲法をつくりたい。まず韓国では軍備縮小、武器輸出禁止、良心的兵役拒否などを盛り込んだ平和憲法をつくることを目指したい」と今後の運動目標を語った。

　平和ネットワークのイ・ジュンギュ室長は「日本の平和憲法が形骸化し危機にある今、韓・日の市民が連帯するのはとてもいいことだ。平和憲法は我われの共有財産だ」と話し、「我われは南北統一に向け、どんな平和を望み、どんな平和を作っていくのか考えなければならない」とビジョンを話した。

　これに対し、日本各地から参加した市民代表らが祝辞や連帯のメッセージを述べた。沖縄の民衆歌手、海勢頭豊さんは平和を願う歌を披露した。

　結成式では、会に代表は置かず、運営委員１０人程度が持ち回りで運営委員長を務める、会員は個人単位とする、などを決めた。運営委員は人権、平和、歴史研究団体や民主労働党役員などから人選した。今後「平和憲法市民連帯」は日本各地の「９条の会」との共同行動やキャンペーン、平和憲法の研究などを進めていく。


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　「韓国９条の会」メンバーらはそれぞれ、統一後の平和の形や韓国の憲法への取り組みなど、日本国憲法９条を守る以外にもビジョンを持っている。しかし、今回日本から参加した市民らは、９条を守り実現した先にある平和の形を描けていただろうかと、疑問が残る。

　韓国での結成に対して感謝と敬意を表す前に、海外でも支援活動をしてもらわなければならない状況となった日本の護憲勢力を省みるべきではないか。なぜ若者が護憲運動に参加しないか、なぜ「９条は人類の叡智で日本の宝」と言う割には日本国内だけで守りきれないのか。今一度考えてみる必要がある。