2011年06月16日

'11 5/28 TBS「報道特集」(2)北朝鮮が招いた大僧正 託された“伝言”の意外な中味

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*2011年5月28日放送の「報道特集」の一部を文字化テキストにしました。(約25分間)テキストは2回に分けてご紹介しております。今回(2)が最終回です。よろしかったらご覧になってください。聞き取りに間違いのある可能性もございます。どうぞご了承ください。写真はテレビより撮影しましたので不鮮明です。

*テキスト集でまとめて読めます
↓ ↓ ↓
*'11 5/28 TBS「報道特集」北朝鮮が招いた大僧正 託された“伝言”の意外な中味
http://aoinomama1313.seesaa.net/article/209859369.html

*'11 5/28 TBS「報道特集」(1)北朝鮮が招いた大僧正 託された“伝言”の意外な中味
http://aoinomama13.seesaa.net/article/209860574.html

*続き

要らと人次々会談 その場で・・

【ナレーター】
 金正日総書記は昨日(2011年5月27日)までの7日間、ここ1年で3回目となる異例の訪中を行っている。時期リーダーと目される習近平(しゅうきんぺい)副主席とも握手。中国との太いパイプを堅持していくことをアピールした。北朝鮮の核をめぐる6か国協議の再開で駆け引きも始まった。

 一方で日本は北との交渉の糸口を探しあぐねている状況にある。一民間人ながら池口氏の今回の訪問はこうした微妙なタイミングでのものだった。

 訪朝2日目、最初に池口氏が会談したのは外務省研究員という肩書きの人物だったが・・。(*咳き込んで)「我が国でも検出されました」彼は日本の福島第一原発の事故に触れ「放射性物質が平壌でも検出された」と言い出したのだ。

(*CM)

福島原発事故引き合いに・・

【ナレーター】
 日本と北朝鮮。両国の交渉が途切れがちな中、先月(2011年4月)、6日間に渡って北朝鮮を訪れた池口恵観氏。一民間人である池口氏が北朝鮮に迎え入れられる背景には朝鮮総連の後押しがあるからだという。池口氏の信者でもある地方議員が仲立ちとなって総連とのパイプができた。中でも総連の実質的ナンバー1と目される許宗萬(ホ・ジョンマン)責任副議長とのつながりが北の各方面の担当者との会談を実現させた。今回はかなりの要人も含まれる3人と会談することになっている。

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【最福寺・池口恵観氏】(会談にて)
 「お会いできて非常にうれしいです。」

【ナレーター】
 最初に対面したのは外務省チョウ・ピョンチョル日本担当研究員。金日成主席観音像を携え、北朝鮮との友好を訴えに訪れた池口氏に対しチョウ氏は冒頭からこう宣告した。

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【北朝鮮外務省 チョウ・ピョンチョル研究員】(会談にて)
 「日本は懸案の拉致問題と言いますが改めてハッキリ言います。拉致問題は完全に解決されています。

【ナレーター】
 チョウ氏の厳しい姿勢は続く。例えば日本政府が経済制裁延長の理由の一つに「北朝鮮のウラン濃縮」を挙げていることについて福島第一原発の事故を引き合いにこう批判した。

【北朝鮮外務省 チョウ・ピョンチョル研究員】(会談にて)
 「日本が福島原発で国際的に複雑な問題を引き起こしている最中に、我が国の平和的なエネルギー利用のための濃縮ウランについて制裁のネタにするとは話にもなりません。

【ナレーター】
 そして彼は「汚染された空気を吸った」と言って話を中断し・・。

【北朝鮮外務省 チョウ・ピョンチョル研究員】(会談にて)
 (*咳き込んで)「我が国でも検出されました。平壌でも検出されました。

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【ナレーター】
 「福島第一原発の事故で北朝鮮でも放射性物質が検出されたことが報道されている。そのことが平壌市民を不安にさせている」と付け加えたのだ。

【平壌市民の男性】
 「新聞などによると今回の原子力発電所の爆発や放射能の流出は自然災害よりも人災だという指摘があります。人々の健康問題や環境汚染の問題は最優先で解決すべきです。」

【ナレーター】
 一方の池口氏は膠着状態に陥っている6か国協議で「北朝鮮から新たな提案を」と提言した。

【最福寺・池口恵観氏】(会談にて)
 「何とかこの国からちょっとこの問題、核を持っている国々がみんなで考えて、平和利用するのに対してどういうふうにやっていけば良いか?というような提案をこの国からしていただければですね・・。」

【ナレーター】
 6か国協議は北朝鮮の核問題を議論する場だが、池口氏は「“核の平和利用”を新しいテーマとして話し合ったらどうか?」と提案したのだった。これに対しチョウ氏は「しかるべき部署に伝える」と答えた。

【最福寺・池口恵観氏】(会談にて)
 「じゃあよろしくお願いします。どうも・・。」(*握手する

【ナレーター】
 その日(4月14日)のうちに池口氏は朝鮮労働党の幹部とも会談した。パク・グングァン国際部副部長。彼が持ち出してきたのは意外な話題だった。

【朝鮮労働党国際部 パク・グングァン副部長】(会談にて)
 「これが解決されなければ日本とは永遠の戦いの中に入る。

(*CM)

大僧正に託されたメッセージ

【ナレーター】
 東京・千代田区にある朝鮮総連中央本部。日朝に国交がない状況の中、大使館的な役割も担ってきた。この総連本部が今競売に掛けられようとしている。北朝鮮系信用組合・朝銀信組の破たんに伴い、不良債権を引き継いだ整理回収機構が総連本部の土地・建物を競売に掛けて融資を回収しようとしているのだ。現在は仮差し押さえの状態。早ければこの6月にも最高裁の決定が出るが、競売という事態に至れば在日朝鮮人は活動の重要拠点を失うことになる。この問題をめぐっては小泉政権時代、整理回収機構側と朝鮮総連とで交渉が進められてきたが、次の安倍政権で総理官邸の意向が強く働き、打ち切られたという経緯がある。

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 先月(4月)15日、池口恵観氏は北朝鮮のさらに高い地位の人物とも会談に臨んだ。最高人民会議常任委員会 ヤン・ヒョンソプ副委員長だ。金正日・正恩親子とも直接話せる立場のヤン氏。どんなメッセージを発するのか―。

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【最高人民会議常任委員会 ヤン・ヒョンソプ副委員長】(会談にて)
 「総連中央会館の問題が良好に解決できるように、積極的に誠心誠意を込めて努力してくださることをお願い致します。

【ナレーター】
 やはり朝鮮総連の競売問題を持ち出してきたのだ。池口氏は要請に対して「分かりました」と答えたという。総連本部競売へ舵を切ったとされる安倍元総理と池口氏の交流を見据えてのメッセージだったのか。日朝間に横たわる難題の1つを一民間人に託す背景に、北朝鮮本国と総連の錯綜する思惑がチラついていた。

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【最福寺・池口恵観氏】(ヤン副委員長との会談を振り返って)
 「全然日本に対する悪いことをおっしゃってないですよね。『日本人は非常に良い人が多い』って言ってですね、『過去のことは軍部が悪かったんであって、日本人そのものは非常に良い人が多い』というようなことを言ってらっしゃってね。」

【ナレーター】
 実は池口氏は今回を含め訪朝する度によど号乗っ取り犯とも接触している。彼らの帰国問題にもし道筋がつけば、その先、拉致被害者の新たな情報が出てくる可能性もある。

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 「早ければこの夏、また北朝鮮を訪問したい」という池口氏。「できれば超党派で政治家を連れて行き交渉のキッカケを作るのが狙いだ」という。日朝間のチャンネルが狭まる中、北朝鮮に独自のルートを開拓しようとする池口氏の動向を日本の当局も注視している。

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なぜこの時期に? なぜ民間人が?

【キャスター・金平茂紀さん】(スタジオにて)
 「日下部さん、一般論で言うのですが、宗教の僧侶っていう立場の人間が日朝関係っていう非常に生々しい国際政治の場に登場してきて、しかも先方の高官が対応するってこと自体がまず異様だと、そういうことをまず僕は指摘しておきたいと思うのですけれども。歴史的に見ても宗教家に政治家が乗っかってくるような時っていうのはこれまでもありましたけれどもあんまり良いこと起きてないですね。それほどたぶん今の日朝関係っていうのは非常に行き詰っていると言うか政治主導がまったく見えないように思いましたけどね。」

【キャスター・日下部正樹さん】(スタジオにて)
 「私、見ていて非常にひっかかった部分は、例の福島原発をめぐる外務省のチョウ・ピョンチョル研究員の発言ですよね。簡単に言うと『原発事故で問題を起こしている日本に北朝鮮のウラン濃縮問題を云々する資格はないんだ』と。それで極めつけは『平壌の空気も汚染されて』と咳き込む姿。どうなんでしょう。北朝鮮というのはもう相手を挑発して自分のペースに持ち込むっていうのは非常に交渉術の1つとしてよく使う手ですけれども、正直ここまでやるかなあと。」

【キャスター・金平茂紀さん】(スタジオにて)
 「そうですね。G8サミットでも日本支援というのは各国から出ていたんですけれども、まったくそれとは対照的な態度ですね。それとその『朝鮮総連の本部が競売に掛けられるようなことがあってはならない』というようなメッセージが北朝鮮側から伝えられたわけですけれど、この意味ですけれども、正に今回の訪朝っていうのが非常に友好使節というかたちではあるのですけれども、これを色んな人たちがこう色々なレベルで政治的に利用しようという思惑がにじみ出ているなあって僕は思いましたね。」

*終わり
posted by あおいのママ at 02:28| 千葉 曇り | TrackBack(0) | 報道番組テキスト | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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