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独自税で神奈川県敗訴の判決
3月21日 17時40分

独自税で神奈川県敗訴の判決
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神奈川県が企業に対して独自に導入していた「臨時特例企業税」という税金について、最高裁判所は「公平な税負担という地方税法の趣旨に反し違法だ」と指摘し、課税を無効と判断しました。
神奈川県の敗訴が確定し、県は徴収した臨時特例企業税の返還を求められることになります。

神奈川県は、資本金が5億円以上の法人に対し、単年度で利益が出た場合、前年度までの累積赤字があっても控除を認めない「臨時特例企業税」を導入して、平成13年度から20年度までの事業に課税し、県によりますと、合わせて480億円余りが徴収されました。
これについて、神奈川県藤沢市に工場がある「いすゞ自動車」が裁判を起こし、1審は訴えを認めましたが、2審は「利益が出ても税金を負担していない企業に一定の支払いを求めるもので適法だ」と判断したため、会社が上告していました。
最高裁判所第1小法廷の白木勇裁判長は「自治体などが地方税に関する条例を独自に作るときには地方税法に従う必要がある。しかし、神奈川県の臨時特例企業税は、企業の税負担を公平にしようと過去の赤字の控除を定めた法の趣旨や目的に反する内容で違法だ」と指摘し、税金を無効とする判決を言い渡しました。
これで神奈川県の敗訴が確定し、臨時特例企業税は、今後、返還が求められることになります。

臨時特例企業税とは

神奈川県の「臨時特例企業税」は、単年度で利益を上げながら過去の欠損金の繰り越し控除によって法人事業税を減免された企業に対して県が独自に課税したものです。
対象は県内に事業所がある資本金5億円以上の企業で、法人課税の負担の公平化と税収の安定化を図るため、平成13年度から20年度までの事業利益に対して課税されました。
県によりますと、この企業税は1723社に課税され、税収は合わせて480億円余りに上るということです。

神奈川県知事「すべての企業に全額返す」

判決を受けて、神奈川県の黒岩知事は県庁で「地方分権へと向かう国の流れに逆行するもので、県の立場からすれば誠に遺憾だが、最高裁の判断には従わざるをえない。ほかの企業から同様の訴訟を起こされれば勝てる見込みはないので、県の財政にとっては大きな痛手だが、できるだけ早く全額を返すつもりだ」と話し、これまでに課税したすべての企業に対して全額を返還する考えを示しました。
神奈川県によりますと、これまでおよそ1700社から合わせておよそ480億円を徴収していて、利息を加えると返還に必要な額はおよそ635億円に上るということです。
神奈川県は、財源が不足したときや災害など緊急時の支出に備えて積み立てている基金を取り崩すなどして返還することにしています。

いすゞ自動車「主張認められ評価」

判決について、いすゞ自動車は「わが社の主張が認められ、評価しています」というコメントを出しました。

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