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定期接種 一部自治体で自己負担へ
3月21日 20時25分

定期接種 一部自治体で自己負担へ
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来月から法律に基づく定期接種に追加される予定の子宮頸がんなど3つのワクチンの接種費用について、東京の少なくとも4つの市が、財源の確保が難しいなどとして1割の自己負担を求めることがNHKの取材で分かりました。
現在の定期接種で自己負担を求めている自治体はほとんどなく、専門家は、「接種率が下がるおそれがある」と懸念しています。

来月から定期接種に追加される予定になっているのは、若い女性に増えている▽子宮頸がんのワクチンと、幼い子どもがかかる細菌性髄膜炎を予防する▽肺炎球菌ワクチンと▽ヒブワクチンです。
定期接種のワクチンの接種費用について、全国の99%の自治体では保護者に接種を勧めるよう法律で義務づけられていることなどから無料で行っているのが実態で、東京都内ではすべての自治体が無料で行っています。
しかし、NHKが今回の3つのワクチンへの対応について都内の自治体に取材したところ、武蔵野市、三鷹市、府中市、西東京市の少なくとも4つの市が、財源の確保が難しいなどとして低所得の世帯を除いて1割の自己負担を求めることが分かりました。
自己負担の額は、最大で1万3000円程度にのぼるとみられます。
厚生労働省は、「予防接種法では自己負担を求めることは禁止されておらず、自己負担を求めるかどうかは自治体の判断だ」と話しています。
予防接種に詳しい日赤医療センターの薗部友良医師は、「自己負担を求めると接種率が下がり、免疫がない人が増えて、地域全体の病気への予防効果が低下するおそれがある。国や自治体がしっかりと財源を確保して全国どこでも無料で受けられるようにしてほしい」と話しています。

予算の確保難しくやむをえない

このうち、東京・府中市では、現在、定期接種の対象になっている8種類のワクチンについてはすべて無料で行っていますが、新たに追加される予定の3つのワクチンについては、保護者に1割の負担を求めることを決めました。
3つのワクチンの接種費用については、現在、国と市町村がそれぞれ45%を負担し、残りの10%については保護者に自己負担を求めてもよいことになっていて、府中市の場合、保護者に自己負担を求めたうえでおよそ1億円を負担しています。
来月、3つのワクチンが定期接種に追加されると基金はなくなり、国から自治体に対し接種費用の9割が地方交付税として交付されることになっています。
しかし、府中市は比較的税収が多いとして地方交付税は受け取れないため、全額を市の財政で賄おうとすると、今より1億円以上多い2億3500万円が必要になります。
このため財源の確保が難しいとして、これまで通り1割の自己負担を求めることを決めたということです。
市内の診療所に予防接種に訪れた1歳の女の子の母親は、「ほかの自治体は無料のところも多いし子育てにはお金がかかるのでできれば無料にしてほしい」と話していました。
府中市健康推進課の松下民夫課長は、「予算の確保が難しく、やむをえない。接種率が下がらないよう対象となる保護者全員に手紙を送るなどきめ細かい対応をしていきたい」と話しています。

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