
西野嘉之
慶応義塾大学大学院博士課程理工学研究科修了。07年に企業価値検索サービス『Ullet(ユーレット)』を開発。現在は新聞・雑誌などの各媒体で執筆活動を行うなど、多方面で活躍中。

ユーレットとは?
上場企業約4000社の決算書(財務諸表)や関連ニュース、大株主などの情報を、ワンクリックで表示。各企業の財務データをビジュアル的に把握できる、無料のサービスだ。 |
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資生堂の社長辞任劇に覚える違和感
先日報道された資生堂の社長が辞任するニュースを見て、みなさんどう思われただろうか? 当然のことながら、女性の方のほうが敏感に、何かを感じられたかもしれない。一昔前であれば、海外の友人から“日本の資生堂化粧品は人気があるから買って帰るのだ”と、よく聞かされたものである。しかしここ数年、インターネットで格安に買える化粧品の普及や、海外ブランドの台頭によって、男性の私から見ても資生堂のブランドイメージが通用しなくなってきていたような気がする。
一体何が起きていたのだろうか? 化粧品業界を見てみると、富士フィルムやサントリーなども新規参入し、勢いがある業界に見える。むしろ資生堂は、老舗として有利ではないかと思うくらいだ。しかし、今回の辞任を報じる記事によると「2011年4月に52歳の若さで社長に抜てきされたが、わずか2年での退任となる。末川社長は、出遅れていたインターネットでの通信販売事業に参入するなど国内販売のテコ入れに取り組んだものの回復せず、また中国事業の失速なども業績の足を引っ張った。」とある。
前社長に抜擢された形で若くして社長になったプレッシャーは大きかったのだろう。前田新造会長が兼務するということは、火中の栗を拾う人材が他にいなかったということなのだろうか? では、前田会長であれば、販売不振に苦しむ資生堂を立ち直らせることができるのだろうか?
販売店網を構築して化粧品を売っていくという、従来までのビジネスモデルは、ネット通販やテレビ通販などに対応していくことは難しかったのかもしれない。同社のヘアケアブランド「TSUBAKI」のテレビコマーシャルが始まった時は、大勢の有名女性タレントが出ており、“さすが、資生堂。お金のかけ方が違うな!”と思ったくらいである。一体何が起きているのか? この社長辞任劇には一つの違和感を覚える。
最新号のメルマガでは、この「違和感を拭い去る」分析を行っている。
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