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さくら祭りの「本宮」中止 「八重」人気で混雑懸念

 NHK大河ドラマ「八重の桜」の舞台として全国的に会津が注目される中、会津若松市の「鶴ケ城さくら祭り」が開催規模を大幅に縮小する。当初4月20、21日の両日を予定していたが、2日目のメーン行事の「本宮(ほんみや)」を取りやめ、20日の夜開催のみに。観光客の混雑や渋滞に拍車を掛けるというのが「本宮」中止の理由だが、関係者は「八重人気の相乗効果で、せっかく多くの見物客が来てもらえるチャンスなのに…」と悔しがっている。
 祭り2日目に当たる4月21日は、会場近くの大河ドラマ館に50台を超える観光バスが集まる予定で、市内は観光スポットを中心に大混雑が懸念されている。実行委は「多くの一般客がいる本丸をみこしが通れば不測の事故が起きかねない」と懸念。みこしが一般道路も通行コースにしており、交通渋滞に拍車を掛ける恐れもあると苦渋の決断をしたという。
 3月に本丸内で城壁を使った映像イベントが開かれた際には、上映回数を増やしても数百人が見物できずに帰った経緯もあり、菅原正晴実行委員長(55)は26日に開催縮小を発表。「参加者や観客に万一のことがあれば迷惑を掛ける。今の時期に日程変更も難しい。楽しみにしているファンには申し訳なく、つらい」と胸の内を明かした。
 1月に実行委員会を始動させ、開催日を4月20、21の両日と決めてポスターも用意した。急きょの縮小開催に、ポスターの「21日」の部分に手書きで×印を付けるしかなかった。
 市は大河ドラマの制作決定後、交通対策の実証実験を行い、駐車場整備の補正予算を組むなどの対策を取ってきた。城周辺の一部道路の一方通行化や「石部桜」見物のシャトルバス運行なども計画。警備員は昨年の10人から今年は50人に増員する。
 だが、春の観光シーズン本番に全国から訪れる観光客は近年にない規模が見込まれ、市内の交通、観光施設の受け入れ能力を上回る可能性もある。市民には広報紙などを通じて鶴ケ城周辺でのイベント自粛や会場の変更、徒歩での花見などを呼び掛ける状況となっている。
 市は4月中旬から5月のゴールデンウイークまでが観桜客のピークとみており、5月3日の市子どもまつりは鶴ケ城近くの運動場から、遠く離れた会津総合運動公園に会場が変更されている。市内の経済関係者の一人は「混乱して観光客に会津への悪印象を持たれることは避けなければならない。せっかく誘客増ができるチャンスだが…」と惜しむ。
 会津若松観光物産協会の庄司裕常任理事(66)は「今年は特別な年。市を挙げて多くの観光客をもてなし、繰り返し会津に来ていただけるようにしたい」と話している。

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「本宮」の中止を決め、実施日の「21日」に×が書かれたポスター
「本宮」の中止を決め、実施日の「21日」に×が書かれたポスター

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