そんな人物が日米同盟破棄論に近い主張を、いかに他者の意見だとしてもあえてその場で紹介することは奇異であり、驚きだった。
日本の防衛をいつまでも負担するのは無理
オースリン氏が、日米同盟を今後も堅持し、増強していくべきだからこそ、その種の否定的な意見にも対処しておくべきだという趣旨で在日米軍撤退論を紹介したのだということは、すぐに分かった。
しかしその時点で私が想起させられたのは、「ニューヨーク・タイムズ」の3月5日付に大きく掲載された「カムホーム、アメリカ」という寄稿論文だった。同じように在日米軍撤退の勧めだったからだ。この論文の筆者は、若手の歴史学者としていま知名度を高めているエリザベス・コブス・ホフマン・サンディエゴ州立大学教授だった。
ホフマン教授の論文は明確な在日米軍撤退論だった。ただし日本とドイツを同列に置いて、米国がその両国から駐留米軍を引き揚げるべきだと主張するのだった。
その骨子は次のようだった。
「イラクとアフガニスタンからの米軍撤退というならば、ドイツと日本からの撤退はどうだろうか。ドイツと日本に駐留する米軍はそもそもソ連の脅威に備えるとともに、ドイツと日本の軍事台頭を抑えることがその駐留の目的だった。だがその政策も思考もすっかり時代遅れとなった」
「日本はもう自国を防衛する能力だけでなく、周辺の諸国の防衛までを支援する能力を持つに至った。米国から見て信頼に足る同盟国でもある。いまの米国の財政赤字を見れば、米国が経済的に豊かな日本の防衛をいつまでも負担するのは無理なことは明白となる。日本は米国の防衛負担を引き継ぐべきだ」
「米国は予算の強制削減で今年だけでも850億ドルを減らし、しかもその半分が国防費の削減となるだろう。こんな時代に、なお外国の防衛に米国自体の巨額な経費は使い続けることはできない」
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