原子力学会が中間報告 新たな分析なく3月27日 11時25分
東京電力福島第一原子力発電所の事故について、日本原子力学会が専門家としてまとめた事故調査の中間報告を公表し、「過酷事故への取り組みが十分でなかった」などと総括しました。
しかし、専門家ならではの新たな分析などはほとんどなく、事故を防げなかった原子力の専門家としての姿勢と責任が問われます。
日本原子力学会の調査委員会は、福島第一原発の事故を専門的な立場から検証しようと去年8月、大学や研究機関の40人余りで発足し、東大阪市で開かれている学会の春の大会で中間報告を公表しました。
この中で原発事故について、「過酷事故への取り組みが十分でなかった」としたうえで、「安全の備えを十分していれば、事故は起きても放射性物質の大量放出のような社会に迷惑をかける事態は回避できた」などと指摘しました。
また、学会の幹部やOBに行ったアンケート結果では、「安全性に対する慢心や自信過剰があった」とか、「原子力村の一員として電力会社に遠慮があった」といった反省の回答が多く寄せられたということです。
しかし、原因などの分析については、すでに知られた事実や、既存の文献の内容をまとめた形で政府や国会の事故調の報告を超えるような原子力の専門家ならではの科学的な調査や分析はほとんどありませんでした。
調査委員会の田中知委員長は、「今回の内容は、事故調査にどう踏み込むか前提となる議論を示したもので、今後、技術的にどこに問題があったかをしっかり確認したい」と話しています。
原子力学会では、ことし12月までに最終報告をまとめる予定で、今回の事故を防げなかった原子力の専門家としての姿勢と責任が問われます。
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