【柔道】全柔連、無風の理事会直後に大荒れ評議員会　執行部刷新せよ！

会見の冒頭に頭を下げる全柔連・上村会長（右から４人目）

　全日本柔道連盟（全柔連）は２６日、都内で臨時理事会を開き、上村春樹会長（６２）ら、全柔連全幹部の留任を決めた。ただ、女子選手への暴力指導、助成金の不正徴収、不正受給疑惑などの問題があることから、理事会後の評議員会では異論が続出。公益財団法人格の取り消しや、国会の証人喚問に発展する可能性が指摘され、一部の評議員からは執行部刷新を求める声も上がった。

　疑惑山積みの全柔連の緊急理事会は、無風だった。上村会長を始めとする執行部、理事に対する進退問題は出ず。「改革・改善実行プロジェクト」のプロジェクト長も務める上村会長は、「責任者として全力で取り組んでいきたい」と宣言した。

　直後に行われた評議員会で、小野沢専務理事が助成金の疑惑について説明。不正徴収については、「スタッフが強化委員会に拠出したお金。問題ないと聞いている」。不正受給も「不正受給だと思っていない。組織ぐるみと言われるのも心外」と同専務理事は疑惑の存在を完全否定した。全柔連理事会は誰も責任を取らず、処分者０のままで、押し通した。

　だが、“全柔連の常識”は柔道界の中でも非常識だった。鳥取の元参院議員の常田享詳評議員は「このままでは、公益財団法人取り消しもありうる」と危機感を募らせると、「トップが出処進退を明らかにし、新しい体制で信頼を回復しなければいけない」と執行部刷新を進言。新潟の立川克雄評議員も「残念ながら、鳥取の意見に賛同する」と同調した。

　千葉の了徳寺健二評議員は「もう一度、真剣に理事会で熟慮を願いたい。今回の内閣には友人の議員が２人いる。常にこの話題が出るし、証人喚問という言葉も出る。今日の受け答えで、証人喚問に耐えられるのか」。危機感のない執行部に、世間の厳しい情勢を説いた。

　このままでは柔道界がもたない。「子供たちの登録料が何に使われているのか、保護者から質問が相次いでいる」「指導者は悲鳴を上げている。行く先々で『どうなっているんだ』『子供に柔道をやらせられない』と言われるが、私に答えようもありません」。各地方評議員たちの深刻な訴えが相次いだ。

　理事会の決定に再考を求める声に「真摯（しんし）に受け止めます」と上村会長は神妙に語ったが、本当に響いたのかは分からない。