元蒼国来、夏場所から出る！４・３臨時理事会で復帰正式決定へ

解雇無効の判決から一夜明け、桜の下で喜びを語る元蒼国来の恩和図布新氏

　八百長問題で日本相撲協会を解雇された元幕内・蒼国来（そうこくらい）の恩和図布新（おんわとうふしん）氏（２９）＝中国出身＝が、東京地裁で解雇無効などを認めた判決が出たことを受け、同協会は２６日、来月３日に臨時理事会を開くことを決めた。判決を覆す証拠が乏しいため控訴を断念する方向で、復帰を決議する見通し。元師匠の荒汐親方（元小結・大豊）はこの日、大阪・豊中市内で、復帰できても２場所休場させる意向を示したが、元蒼国来は都内で取材に応じ、夏場所（５月１２日初日・両国国技館）から出場したい考えを示した。

　勝訴から一夜明けた元蒼国来は穏やかな笑顔だった。東京地裁は２５日に解雇無効と幕内力士の地位を認める判決を出した。相撲協会は判決を覆す証拠が乏しいため、控訴を断念せざるを得ない状況。都内で取材に応じた元蒼国来は「断念の話は直接聞いていないが、報道で知った。もしそうだったらうれしい」と喜んだ。

　一方の協会はこの日、来月３日に臨時理事会を開催することを決めた。八角広報部長（元横綱・北勝海）は両国国技館内で「４月３日に理事会を開催し、その前に危機管理委員会を開く」と明かした。臨時理事会で復帰を決議する見通しだ。

　元師匠の荒汐親方は大阪・豊中市内の宿舎前で、元弟子の勝訴に「よく辛抱したと思う」と涙をこらえ喜びを語った。現在も東京・中央区の部屋の個室はそのままの状態で、締め込みや化粧まわしも保存してあるという。ただ「早く稽古はさせてやりたいが、２場所くらいは休ませたい」と早期復帰は慎重な考えを示した。

　が、元蒼国来は夏場所での復帰に意欲的だ。荒汐親方とは数分間、電話で話し、祝福を受けたという。「親方からはそれくらい稽古しないと元に戻らないと言われていた」と理解を示す一方で「負けるかもしれないけど、一日でも早く戻りたい。休場は考えていない」と話した。復帰の番付は「幕内力士としての地位を求める裁判だったので」。解雇直前の西前頭１５枚目での復帰を希望した。

　２週間ほど前の筋トレ中に右のあばら骨を骨折し、現在はトレーニングを休んでいるという。部屋の生活と稽古場への復帰は「協会の答えが正式に出てからでないと、親方に迷惑をかけることになる」と話し、協会側が正式に控訴を断念してから戻る考えだ。

　この日は処分を受けた１１年４月以来、約２年ぶりに国技館の前を歩いた。「車の中から見たことはあったが、前に立ったのは久しぶり。懐かしいと言ったら変だけど、いろいろなことを思い出す」と感慨深げ。電話、メールを合わせ約１００件もの祝電をもらったといい「驚いた。恩返しできるよう頑張りたい」と誓った。