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麻生の密使?小泉、安倍の指南役「炎の行者」ロシアへ

鹿児島・最福寺法主 池口恵観氏

池口恵観

 前人未到の百万枚護摩行を達成した行者で、森喜朗、小泉純一郎、安倍晋三各元首相らの「指南役」としても知られる、最福寺(鹿児島県)法主の池口恵観氏(72、写真)。17日からのモスクワ訪問を前に夕刊フジの取材に応じ、「民間の立場で、北方領土返還と北朝鮮による日本人拉致問題を進展させたい」と語った。注目すべきは、池口氏が唱える「2島先行返還案」だが…。

 「炎の行者」と呼ばれる池口氏は、小泉氏の遠縁。高野山真言宗大僧正という最高位の高僧でもある。政治家やスポーツ選手、企業家、作家など、幅広い層を弟子に持つ。阪神タイガースの金本知憲選手や新井貴浩選手、引退した清原和博氏も弟子の1人で、今年1月、新井選手が失神寸前の護摩行をした様子はテレビで放映された。

 そんな池口氏とロシアとの接点は1992年ににさかのぼる。

 「シベリアに抑留され、現地で亡くなった日本兵の慰霊のために、ハバロフスクを訪れたのがきっかけ。仏教や護摩行に興味を持つロシア人と仲良くなり、大学の客員教授に迎えられた。その後、プリマコフ元首相とも親しくなった。彼は鹿児島の寺にも来た」

 プリマコフ氏とは、エリツィン時代に首相や外相を務めたロシアの大物政治家で、元KGB幹部。プーチン政権下でも特使としてイラクを訪問し、池口氏の寺で護摩行をしたという。

【「北方領土と拉致問題を動かしたい」】

 今回の訪問でも、池口氏はプリマコフ氏らと会談するというが、その目的についてこう語る。

 「戦後60年以上過ぎた。北方領土を何とか進めたい。北海道の漁業関係者は漁場が限られ、ロシア側にたびたび拿捕されるなど困っている。元島民も高齢化している。私はロシアには知己が多い。民間の立場から『2島を先行返還し、残り2島を継続交渉』といった案を提案したい。同時に、膠着状態の拉致問題をロシア側から動かしてみたい」

 北方領土について、日本政府は「北方4島とも日本固有の領土」というのが基本的立場。ただ、首相は外相時代に、4島の面積を折半する「面積等分割論」に理解を示したうえ、先月のメドベージェフ大統領との首脳会談後には、「4島の話は向こうが2島、こっちが4島では全く進展しない。政治家が決断しなければ」と語るなど、なんらかの譲歩の可能性も匂わせている。

 5月にプーチン首相訪日も控えているだけに、「麻生内閣の密使では?」との疑問をぶつけてみた。

 これに対し、池口氏は「いやいや、あくまで民間の立場」と否定しながら、「国の方針と違うことをロシア側に話せない。先日、河村建夫官房長官と鳩山邦夫総務相にお会いし、ご理解いただいた。今週は(拉致問題担当の)中山恭子補佐官や(元外務次官で外交担当の)谷内正太郎政府代表にも会った」という。

 官邸関係者も「民間人として両問題を解決しようという情熱には頭が下がるが、政府の密使ではない。政府としては、何をするにせよ、まず4島は日本に帰属している事を明確にさせることが最重要基本課題だ。谷内さんもそれはきちんと説明した」と話す。

 今回の訪問には、北方領土の4島一括返還を主張してきた民族派幹部も参加するというが、最後に池口氏はこう語った。

 「現在、世界は『100年に一度の危機』といわれるが、私は『100年に一度のチャンス』だと思っている。こういう危機的な時代にこそ(外交は)動くのではないか」

ZAKZAK 2009/03/13

池口恵観

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