「果物」=「菓子」!?
2010年11月16日(火)
日本に古くからある果物は、梨や柿、そして栗といわれています。栗も果物なの?と思う人がいるかもしれませんが、果物はもともと【木になる実】のこと。栗だけでなくくるみやどんぐりなども果物だったのです。果物は本来「く」「だ」「もの」という3つのことばが結びつきました。「く」は「木」が音変化したもの。「だ」は今でいう"の"のような助詞で、「木だ(の)物」なので【木になる実】なのです。同じようなことばに「獣」があります。こちらも本来「け」「だ」「もの」が結びついたことばで「毛だ(の)物」だったのですね。さて、古く「果物」と呼ばれたものは、「菓子」とも呼ばれていました。「菓子」は本来「果子」と書き、【木の実】のことだったのです。「果物」と「菓子」の違いは「果物」が和語で、「菓子」が漢語というくらいで、両方とも木になる実にはじまり、いちごや瓜など草になる実など、主食以外の間食を指しました。古くは、間食に食べられていたものは、自然のものがほとんどでしたが、その後、大陸から米や麦の粉に、飴、蜂蜜などをまぜて油であげたものなどが伝わり、「唐菓子(とうがし・からくだもの)」などと呼ばれました。さらに、茶うけの饅頭や練り羊羹、カステラなど砂糖を使った甘い食べ物も外国から伝わります。そうして、人が手を加えて作った甘い食べ物は「菓子」で、自然の果実のものは「果物」と区別されていったのですね。ただ、江戸時代、江戸では果実のものを、水分の多い菓子ということで『水菓子』ともいっていました。現在では、ゼリーや水羊羹などを「水菓子」と呼ぶ人もいますが、本来は果実のものが『水菓子』なのですね。