高麗人参の歴史
高麗人参は中国の遼東から朝鮮半島を原産地とする植物で、現地では伝統的な薬草として知られています。
枝分かれした根の形が人の姿のようであることから『人参』と呼ばれるようになり、その後の普及にともなって『高麗人参』や『朝鮮人参』『オタネニンジン』と名付けられるに至っています。
中国では、万里の長城を建設したことで知られる秦の始皇帝が愛飲していたことから、薬効の高い漢方薬として、数千年にわたって重宝されてきました。
その後、身体の自然治癒能力を高めることを目的とした東洋医学で広く取り入れられるようになり、日本人を含む東洋人の間で貴重な漢方薬として多用されています。
日本への伝来
高麗人参が朝鮮から日本に伝わってきたのは江戸時代のことです。
最古の記録としては、739年(天平11年)に渤海の文王が聖武天皇に高麗人参30斤を贈ったことが確認されています。
その後も、朝鮮半島から継続して贈られてきた高麗人参は、その薬効の高さからまたたくまに需要が増し、1685年(貞享2年)には幕府が江戸に朝鮮人参座を開設して高値で取引されるようになりました。
このように、長い歴史を通じて日本に普及された高麗人参は、やがて国内でも栽培が試みられるようになり、1729年(享保14年)にはじめて国内栽培に成功しています。
高麗人参の研究
昔から薬効の高い植物として珍重されてきた高麗人参ですが、その成分が化学的に研究されはじめたのは1960年前後のことです。
特に高麗人参の有効成分であるサポニンが注目を集めるようになり、赤外線吸収スペクトルをはじめ、質量分析、X線解析、ガスクロマトフィーなどさまざまな技術の開発・進歩にともない、化学・薬学・医学の分野で広く研究されるようになりました。
サポニンの効能については、数多くの臨床試験も実施されており、いくつもの実績がデータとして残されています。
近年はさらに詳細な成分分析も可能となっており、サポニンなどの一般植物成分のほかに、微量の新規成分が発見されるなど、新たな高麗人参研究がおこなわれています。