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【スポーツ】

安楽152キロ 済美サヨナラ勝ち

2013年3月27日 8時15分

広陵−済美 延長13回、232球を投げ抜き初戦を突破した済美・安楽=甲子園球場で(木戸佑撮影)

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◇センパツ高校野球<第5日目>

 大会注目の剛腕が甲子園デビューした。済美(愛媛)は延長13回、4−3で広陵(広島)にサヨナラ勝ち。2年生エース安楽智大投手は、センバツの2年生としては初めての150キロ超えとなる最速152キロをマークした。8年ぶり出場の常総学院(茨城)は0−2で済々黌(熊本)に惜敗。敦賀気比(福井)は6−5で、春夏通じて初出場の京都翔英に逆転勝ちした。近畿勢は4連敗となった。

 危うし、超新星・安楽の一幕だった。8回までの2安打はいずれも内野安打で、外野に届く被安打は1本もなかったのに完封目前の9回につかまった。3点を失って同点に追い付かれたのだ。昨秋の四国大会準決勝では鳴門に9回裏、4点を奪われて逆転サヨナラ負けしたのが、四国の剛腕にはトラウマになっていた。まさしく魔の9回に「自分の弱さが出た」と嘆いたが、ここから踏ん張った。広陵の粘り強さに苦しみながらも、232球の力投劇で延長13回を一人で投げ切り、サヨナラ勝ちを呼び込んだ。

 「9回をゼロで抑えられなかったのは反省だけど、4点目を与えず、負けなかったことで少しは成長できたかな」と安楽は小さく笑った。その隣で、上甲正典監督(65)は「笑おうとしたが、あの回だけは顔が引きつってしまった。飛んだ打球の方向まで、あの鳴門戦と一緒だったから」と振り返った。前任の宇和島東高時代から“上甲スマイル”で知られる名将が、ベンチ前で得意の笑顔を浮かべる余裕さえなくした。それでも激闘の末の初戦突破に「ホップ、ステップ、ジャンプと考えれば、ホップはできたんじゃないかな」と褒めた。延長に入ってからは、さすがに球威は衰えたものの、10回無死満塁のピンチを断つなど要所を締める存在感を見せつけた。

 スーパー2年生の剛球は、いきなりスタンドをざわめかせた。初球は148キロをマーク。1回2死三塁で4番・太田から空振り三振を奪って雄たけびを上げた時の外角速球など、自己最速に並ぶ152キロを2度たたき出した。スピードガン普及後、春の甲子園で2年生が150キロ以上を記録したのは、安楽が初めてという快挙である。

 「甲子園最速の155キロという目標には届かなかったけど、まだ寒い中で150キロを超えたのは自信になる」と安楽は疲れた表情も見せずに語った。タフな投球で13三振を奪った。藤浪(大阪桐蔭−現阪神)大谷(花巻東−現日本ハム)から剛腕のバトンを受け継ぐ甲子園スターに名乗りをあげた。 (阿知波浩二)

 

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