長州力「リングをなめたことはないですよ」
3.31奉納プロレス直前インタビュー
「実話が基になっている映画が好きですね」
――最近ですとビールのCMへの出演が印象的だった長州さんですが……
いやぁ、その話はいいよ(苦笑)。
――「夢を叶える」という役柄でしたが、長州さんご自身の現在の“夢”というといかがですか?
夢が何かって言われても分からないな……。何だろう、まぁのんびりしたいってことかな(笑)。
――今は普段、どんな風にお過ごしなんですか?
僕はもう結構ワンパターンなんです。家でのんびりしてるか、道場へ行ってトレーニングしてるか。家と道場の行ったり来たりで。家ではテレビを観たり、映画を観たりしています。
――長州さんは映画好きだという話をお聞きしました。
観てるとリラックスできるから好きだね。最近は機械が壊れちゃったんでムービープラス(映画専門チャンネル)を観ています。あとはディスカバリーチャンネル、ヒストリーチャンネルとか。ああいうのを観てるとボケーっとできて僕はいいんですよね。
――ディスカバリーチャンネルやヒストリーチャンネルというと、ドキュメンタリーがお好きなんですか?
好きですね。映画もドキュメンタリーが好きです。でも最近は、『アルマジロ』っていう観たかったやつが観られなくて。
――動物のドキュメンタリーですか??
そう思うけど、アフガンへ派兵された若い兵士の話で……
――あー、分かりました。デンマークの若い兵士たちが戦場で変わっていく姿をとらえたドキュメンタリー映画ですね。
あれが観たくて観たくて。でも渋谷の小っちゃいところでしかやってなくて、夜でも行こうと思ったんだけどちょっと時間が合わなくて。
――自宅でご覧になる以外に映画館へ出掛けることもあるんですか?
いやないんだけど、それは観に行こうと思って。ドキュメンタリーとか、実話が基になった映画ってあるじゃない。そういうのは好きだね。『アルマジロ』は前から気にはなっていて。でも映画は基本的に何でも観ます。
――何かオススメだったりありますか?
いやぁ、映画を観る人っていうのはみんな好みがあるから。僕もそんなにジャンルにこだわってる訳じゃないし。
――では最近はそうやってトレーニングするかゆっくりされることが多いと。
そう。
――今もトレーニングを欠かさず、今後も「生涯現役」でしょうか。
いや現役っていうか、もう一線も二線も引いてるから。
――以前とは違った心持ちでプロレスをされているのですか?
悔しいけど、こればっかりは現実問題。でもトレーニングは好きだから。
――トレーニングすることが日課になっているというか。
そうですね。そういう自分のサイクル、リズムになってますよね。
「橋本2世や坂口2世に教えることは何もないよ」
なんか皮肉なことにそういうことになってますね。そういった意味じゃ役割、役目的なものがあるのかもしれない。でも教えることは何もないけど、ちゃんとやることをやってリングに上がらないと大きな事故に繋がっちゃうから。そういうことはきちんと言ってやろうかなって思ってます。
――「やることをやってリングに上がる」というのは、長州さんが戦いの中で学んだ心構え・哲学でしょうか?
リングに上がるんだったら、やるべきことをやっておかないと。やるべきことをやっていても、事故は起こる訳だから。上がるまでは「ゆっくり、慌てるな」とかそういうことを言えるけど、もうリングに上がったら守れないからね。上がってしまったらもう自分は自分で、自分のことをやるっていうだけだから。
――やはりリングに立つ以上は、それに足る準備をしていなければならないと。
それが当然じゃないかなと僕は思ってます。僕は周りからどう見られようが、リングをナメたことはないですよ。反対にちょっと怖いなって思うようなことすら、よぎることもあるし。だから道場に行くのかなとも思うし。
――長州さんでもリングを怖いと思うことがあるのですか?
上がる前はちょっといろんなことを考えたりするよね。昔とは違う。昔は勢いでリングに上がれたけど。
――昔はそういうことはなかったと。
昔はないね。もう勢いで上がっちゃっていたから。
――では今トレーニングするのは、体を鍛えるのと同時にそういう気持ちをなくすため、という面があるのでしょうか?
いや、練習してる時はそういうことは考えてやってないけど、とにかく自分が動ける、自分で自分を守れることはやっておかないと。
――それができている限りは、リングに上がり続けるお考えでしょうか?
それは分からない。僕はもういつリングの上で靴を脱いで、「辞めた!」ってやってもいいと思ってるから。
――2世選手の話に戻りますが、今回はタッグ結成ならなかった大地選手ですが、1度シングルで対戦して父親の橋本真也さんを思わせるところがありましたか?
いや、そんなアレは全くない。そういう風にマスコミさんは言うけど、全然別ですよ。そんなものを本人が考えてやっていたら、どんどんどんどん時間が経っていくし、息子は息子ですよ。
――どうしても我々はそういう見方をしてしまうのですが、そうではないと。
全く違いますよ。