河北春秋

 「要するに、妥協の産物だったんだな」と、晩年の後藤田正晴さんが語っている。衆議院の小選挙区比例代表並立制が果たして良かったのかどうかを問われてだ▼政治とカネ。問題の根源には同じ党から複数の候補者が出て、金権選挙に陥りかねない中選挙区制がある−。そんな問題意識から、自民党の重鎮だったこの人は選挙制度改革に尽力した

 ▼「妥協」と言われては、怒りにも似た感情を禁じ得ない。しかし、小選挙区で落選し比例で復活する仕組みなどまさにそう。都道府県に定員1人を割り振る別枠方式もまた、地方議員に配慮した果てだ▼きのうは判決ラッシュだった。1票の格差を是正せずに行われた昨年の衆院選について、各地の高裁や支部が「違憲」や「無効」の判決を次々に出した。国会の全面敗北といっていい

 ▼議員の利害が深く絡んで物事が前に進まない。改革の動きが鈍い原因に、1人別枠方式があり、ひいては小選挙区制そのものもある。「違憲選挙」で当選した議員諸氏は、さぞ寝覚めが悪いだろうに▼きょう、仙台高裁秋田支部の判決が出て、一連の格差訴訟は終了する。連戦連敗を受けて政治はどう動くのか。妥協と小手先の改変ではもう済まない。すっきりとした選挙制度を、しかも早く。

2013年03月27日水曜日

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