《読者による解説と感想》
高校生の拓也は、姉のあつ子が自分のパソコンを操作しているのを見て愕然とし
た。
秘密のMOの中には、『日本B&D研究会』という会員制のSMサイトから収集し
た、緊縛女性の画像がいっぱい詰まっていたからだ。
「こういうの見て、オナニーするのね」
姉の言葉にただ唸るしかない拓也……。
しかし、それから姉の発した言葉は、耳を疑わせるものだった。
★
作者お得意の「姉弟もの」の一篇。
ここで描かれるのは、インターネットを巧みに使ったトリッキーなファンタジーで
ある。
館作品において双璧をなすテーマである「母子もの」との違いは、互いの中にある
禁忌の概念の差であろう。
母と息子と違い、姉と弟という関係は、年齢があまり開いていない分、禁忌の概念
もまた、それほど高い障壁とはならないのかもしれない。
さらに、幼児期を共有するふたりの遊戯には、どこか子ども同士のお医者さんごっ
このような風情が漂う。
そんな、まさか……。
と思いつつ、
もしかして、ひょっと……。
という気分にさせてくれる。
年齢設定や境遇を変え、さまざまに変奏される「姉弟」サーガのエッセンスを抽出
した、軽やかで、甘酸っぱい、キャンディのような小品。
「おもちゃにして。どこを触ってもいい。いじり回して、うんと恥ずかしい思いをさせてほしい」
こんなこと、
言われてみたい?
それとも、
言ってみたい?
詩織(MLメンバー)
《初出情報》
『魔悦の姉弟・緊縛遊戯』…………「小説CLUBロマン」1999年12月号収録
『緊縛レッスン入門編』改題
《書誌情報》
本書はマドンナ社よりマドンナメイト文庫の一冊(た10-4)として文庫判型で刊行された。
デジタルテキストは発売されていない。
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