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その気持ち、受け止めて〜

「はぁ〜………」

 めずらしく一番風呂をいただいていた福沢祐巳は、湯船に身を深く沈めたまま、大きくため息を吐いた。

 近頃祐巳は、お風呂に入るたびに思う。

 中等部に上がる少し前あたりからだろうか、家族と一緒にお風呂に入らないようになったのは。

 先日、クラスメイトとそんな話の流れになった時に、さりげなく聞いてみたのが、皆もやはり小学生高学年辺りを境に、段々と家族一緒にお風呂に入ることが無くなった様だ。

 昔は、よく一緒に祐麒──年子の弟──とお風呂に入っていたものだが、やはり歳を経るごとに、成長した身体を見られる恥ずかしさ……よりもむしろ照れの方が強いのか、自然と一緒にお風呂に入る事はなくなってしまった。

 でも、正直なところ、いつも一人っきりでお風呂に入っていると、たまに寂しくなる時があった。

 お母さんに「一緒に入って」と言うのも、なんだか甘えん坊さんみたいで変だし、お父さんに対しては、悪いけど論外だ。

 その分時々、祐麒と一緒にお風呂に入るのはどうだろう? って考えてしまうことがある。

「うーん、どうかな? 胸とか見られて困るところは、タオルで覆ってしまえば特に問題ないと思うんだけど」

 と、年頃の女の子とは思えないような考えが、最近頭を過ぎるのだ。

 これって、特殊な例なんだろうか? と、自問自答もしばしば。

 祐麒と一緒にお風呂に入っているシーンを想像してみても、実のところあんまり嫌な気がしない。

 もっとも、好奇心の方が勝っているのは自覚している。

 と言うのも、数日前、保健体育でいわゆる"性教育"の授業を受けたばかりなのだから。

 教科書や配布されたプリントを見ても、断面図や抽象的な説明ばかりで、肝心な部分はぼやかされているため、その部分を補間しようとしても、正真正銘の"乙女"である祐巳には、ソッチの知識はそれこそ教科書レベルでしか無いため、想像するにも限界がある。

 それを確実に埋めるにはどうすればいい? 簡単なことだ、"本物"を知ればいいだけの話だ。

 でも祐巳は、幼稚舎から現在までずっとリリアン通いなので、当然ながら異性との交際経験はまったくないし、そんな相手もすぐには見付からない。

 いや、そりゃ頼めば見せてくれるだろう人に心当たりはないでもない──例えば祐麒の友人辺りとか──が、こんなことを頼むと、誘っていると思われるか、下手すれば正気を疑われかねない。

 となれば、一番身近なところにいる人物に頼る他ないではないか。

「という事なんで、お互い初めてってわけでも無いんだし、家族で問題もないだろうから、一緒に入らない?」

 ある日祐巳は、祐麒が風呂に入っているタイミングを見計らい、不意打ちを食らわしてみた。

「お、おまっ、ははは恥ずかしくないのかよっ!?」

 慌てて祐麒は、湯と湯気でハッキリ見えないにも関わらず、股間あたりを両手で覆い隠す。

「……別に。見られて恥ずかしいトコロは隠せばいいんだし、問題無いでしょ?」

 そう言いつつ、祐麒の腕を掴んで、湯船から引っ張り出そうとする。

 ちなみに祐巳は、髪をアップで纏め、胸と腰にタオルを巻いただけという、なかなか素敵な格好だった。

「そういう問題じゃないよっ!?」

「じゃあ、どこが問題なの?」

 聞き返しながら、腰に手をあてて無意味に胸を張って見せた時、ふと身体に巻いているタオルに違和感があった。

ハラリ

 「ありゃ!?」と思った時には既に遅く、二枚のタオルは、ハラリと身体を離れて落っこちた。

「ブッ!?」

 中腰で立ち上がりかけていた祐麒は、一瞬見えた祐巳のアノ部分(具体的には乳房)やアノ部分(具体的には股間)のお陰で、鼻血を一発吹いてしまった。

 慌ててタオルを拾い上げる祐巳。

 祐麒の目の前には、子供の頃とは明らかに違う、大人の身体(一歩手前)を持った姉の姿。

「見られたく無い」んじゃなくて「見せたら一緒に入ってくれなくなるかも?」であたふた

 あたふたして、クネクネ動いている祐巳の艶かしい身体を見ていると、自分の意思ではコントロールできない身体のある部分が、むっくりと頭をもたげてきた。

「……イケナイイケナイ、えへへ。え〜と、見えちゃったカナ?」

 祐麒は、首をブンブンと横に振った。

 いや実際はしっかりと見えていたのだが、それは内緒だ。

 もっとも、鼻血でバレバレではあるが。

「あはは、まあ一瞬だったしね。そ、それじゃ背中洗ってあげるからさ。ほら、座って?」

「あ? あ、あぁ……」

 勃ちかけているアソコを見られない様に慌てて背を向け、風呂椅子に腰を下ろす祐麒。

「ふ〜ん、ふ〜んふ〜ん♪」

 祐巳は、祐麒の気持ちを知ってか知らずか、暢気に鼻歌を歌いながら、泡立てたスポンジで彼の背中を洗い始めた。

「お客さん、痒いところはないですかぁ〜?」

 風俗店のつもりなのか、しかし理髪店とごっちゃになっているようで、変なことを訊く祐巳だったが、祐麒はそれどころではない。

お客さんこういうトコよく来るの?(違

 恐らく無意識なのだろうが、祐巳が胸を背中に押し付けてくるのだ。

 例えタオル越しであろうとも、ムニムニ伝わってくる二つの柔らかい感触に、真っ赤な顔で黙り込むばかり。

 見えないように隠してはいるが、祐麒のアソコは、既に天へと上らんばかりにギンギンで、とても祐巳に見せられる状態ではない。

「ホラ、ちょっと手を挙げてよ。お腹の方が洗えないよ?」

「わぁ、ちょっと待った待った!?」

「問答無用!」

 祐麒の脇の下に、両手を突っ込む祐巳。

 両手に付いた泡のせいか、力強く閉じられていた脇の下にあっさり滑り込む。

「あひゃぁ!?」

 変な声を出しつつ、思わず両脇を広げてしまう祐麒。

 そうなれば、当然ながら脇から前を覗き込まれてしまうワケで。

 勃起した祐麒の陰茎が、祐巳の目に飛び込んだ。

「わぁ………」

「あぅぅ………」

 祐巳から上がったのは感嘆の声。

 逆に祐麒からは、落胆の声。

 祐巳が感心するのも尤もだ、小さい頃に見た時の記憶と違って、今の祐麒のアレは、大人の貫禄。

「うぅ、とうとう見られてしまった……。しかも、こんな状態のを」

 情けない声で、祐麒が呻く。

「でもさ、それって祐麒くらいの男の子なら、誰でもそうなって当り前なんでしょ?」

「だからって、相手は曲りなりにも実の姉なんだよ!?」

 どうやら彼は、倫理的にそういうのは好ましくない、という事を言いたいようだ。

「実の姉でも何でも、私だって歳相応に成長した女の子なんだよ。変な趣味を持ってるんだったらともかく、祐麒くらいの男の子が裸を見たら、えーと、その、反応? してしまったところで、別におかしくないんじゃないかな?」

「だから普通はそうならない様に、いい歳した姉弟は、一緒に風呂に入ったりしないんだよっ」

 なんで分からないんだよ? とでも言わんばかりに力説する祐麒は、見られてしまうことも失念しているのか、思わず振り向いてしまっていた。

「身体が反応しちゃったからって、別にそれで祐麒が私を襲ったりするワケじゃないんでしょ? だったら問題ないじゃない」

「………」

 何か言いたそうに、口をパクパクさせる祐麒。

 でも、なんて説明すれば良いのか、言葉が纏まらないようだ。

「それにさ、どうしても気持ちが押えられないって時はさ……」

 そこまで言って、少し視線を逸らす祐巳。

「私がなんとかしてあげるから」

「なっ!?」

 祐麒は、驚きの余り目を大きく見開き、口もあんぐりさせて、そのまま暫らく固まってしまった。

 おまけに、先ほどまで下腹を叩かんばかりに勃っていた陰茎が、半分萎えてしまうという体たらく。

「……祐巳、自分が一体何を言ってるのか、判ってる?」

「どうすればいいのかは判らないけど、できるだけ祐麒が望む形で、気持ちを受け止めて上げる」

 頬を赤く染めつつ、照れたように微笑む祐巳。

「でも、姉弟だから、その……、一線を越えるのだけは、ダメだからね」

 その顔を見た祐麒は、思わず頭を抱えて蹲ってしまった。

「冷めちゃうね。一緒に入ろ?」

 照れているような、不貞腐れているような、困惑しているような、色んな感情が入り混じった微妙な表情で、促されるまま浴槽に入る祐麒。

 祐巳は続いて、祐麒の正面に身を沈めた。

 父の設計によるこの家、その風呂場は、大人二人が入れるだけの余裕はあるが、さすがにゆったりとまでは行かないようで、祐巳と祐麒は、互いの膝が当たる距離で向かい合っていた。

 『かぽ〜ん』と風呂特有の音が響く中、しばらく無言でモジモジしていた祐麒だったが、

「……祐巳、その、手だけでいいから……いいかな?」

 覚悟を決めたのか、我慢ができなくなったのか、それとも千載一遇とも言えるこのチャンスを逃したくなかたのか、消え入りそうな声ではあったが、意思を伝えた祐麒。

 祐巳は小さく頷くと、弟の手を取り、自分の胸に押し付けた。

 祐麒の両手の平に伝わる、ムニュンとした感覚。

 柔らかくも張りがあり、大き過ぎず小さ過ぎることもない、祐巳の乳房。

 年頃の女性の乳房に触れて興奮し始めたせいか、ほとんど通常状態に戻っていた祐麒の陰茎が、再び勃起し始めた。

 祐巳は、微笑を浮かべつつ、彼の陰茎を軽く右手で握った。

「わっわっ、大きくなってきた!?」

祐麒ってば、一生懸命触ってる。何かカワイイな♡

 驚きつつも、続けて左手を睾丸に添えると、祐巳の手の中で硬直が加速度的に進む。

 そして、完全に勃った陰茎は、ビックンビックン脈動していた。

 その生々しい動きに、祐巳も若干鼻息が荒くなる。

「スゴイんだね、オチンチンって……」

 湯船に浸かっていることを差し引いても赤くなっている祐巳は、祐麒の股間から目が離せない。

 身体の方も先ほどから興奮しているようで、時折背筋を走る電流のような刺激に、膣口や子宮の辺りがジンジンと熱く、ジュンと来る。

 知ってか知らずか祐巳は、陰茎をしごくように右手を動かしていた。

 祐巳の胸を揉み続け、更に陰茎を刺激され、おまけに睾丸を弄りまくられている祐麒は、はぁはぁと荒い呼吸で目も虚ろだった。

「でも、このままじゃやりにくいし、良く見えないね。祐麒、ココに座って?」

 湯船の縁を左手で叩く祐巳に従い、のろのろと立ち上がった祐麒。

 祐巳の胸に、若干名残惜しそうだったが、陰茎への快感に集中するためだろう、割とあっさり手を離した。 

 もう開き直っているのか、股を閉じることも無く腰を下ろす祐麒。

 丁度祐巳の目の高さで、幾筋もの血管を浮かべて硬直し、天を見上げてビクビク動く陰茎が曝け出される。

「へぇ〜、こうなってるんだ……」

 一見グロテスクに見えるその陰茎を、再び右手で握る祐巳。

 まるで、ゆで卵の白身の様にツルツルテカテカとした亀頭に指を這わせば、

「あ……」

 女の子のように悩ましげな声で、祐麒は身体をビクリと動かした。

「ふふ、気持ちいいの?」

 上目遣いで弟を見れば、彼は目を瞑って、全身を貫く快感に耐えているようだった。

 再び陰茎をしごき出した祐巳の手、親指と人差し指の間には、先端から滲み出た透明な液体が纏わり付き、ヌルヌルとした感触をもたらした。

 それは、尽きることなく溢れ出て、祐巳の手の平に広がり、更には亀頭全体を覆い尽くす勢い。

 滑りが良くなったせいか、祐巳の手の動きも速まり、陰茎に伝わる刺激は、否応にも増すばかり。

「くっ、ダメだ……」

 そろそろ我慢の限界なのか、祐麒は祐巳の頭をガッシっと掴み、身体が動かないように固定した。

 祐巳も、陰茎を地面と平行になるように、亀頭が顔の真正面に向くような角度で、先ほど以上に速く手を動かす。

「あ、あ、あ、ダメ、姉ちゃん!」

「いいよ、来て。思いっきり、来て!」

「あぅ!」

 絶頂の呻き声と同時に、陰茎の先端から迸り出た白く熱い塊が、祐巳の顔を幾度となく、痛いぐらいにバシバシと叩く。

熱い…! なんだろう? ジュンときちゃった

 彼女の額が、頬が、鼻が、瞼が、顎が、ドロリとした液体にまみれてしまった。

「うわぁ、熱い……。いっぱい出たね」

 指先で、瞼に着いた精液を拭いながら、感心したように呟く祐巳。

 かなりの粘度があるのか、祐巳の顔に貼りついたまま、流れ落ちる気配もない。

 飛び損ねた精液が、今尚勃ち続けている陰茎の先端から、ダラリと垂れ下がったままだ。

 手の平で、亀頭に着いた白濁液を拭い取って祐巳は、それを人差し指で捏ね繰り回す。

「ドロドロでヌルヌルなのに、なんだかザラザラしてる……」

 呆けたように、視線の定まらない顔の祐麒は、祐巳の扇情的な行動を見ることも、答えることも出来ないようだ。

「それじゃ、洗っちゃおうか。このままお湯の中に入ってしまったら困るもんね」

 なすがままの祐麒を再び風呂椅子に座らせ、シャワーで陰茎を綺麗に洗い流す祐巳。

 すこし硬直が収まっているようだが、イった直後のせいか敏感になっているようで、指を這わすごとにビクッと反応した。

 実は祐巳も、顔に精液を浴びた瞬間、少しだけだがイってしまった。

 その証拠に、自身のアノ部分がかなりヌルヌルに濡れており、身体も先ほど以上に熱く、ジンジンしていた。

 祐巳は、顔に貼りついたままの精液を洗い流し、アソコも綺麗にすると、

「じゃぁ祐麒、お姉ちゃん先に上がるから」

「あぁ……」

 素っ気無い返事に、不安になる祐巳。

 ほとんど勢いだけでこんなことをしでかしたので、祐麒に嫌われてしまったかな? と思ってしまったからだ。

「あの、祐麒? 私のこと、その、嫌いになっちゃった……?」

「……いや、そんなこと……ないよ」

 しばらくの間の後に、返事が返る。

「そう、良かった……」

「……お、オレさ、そんな姉ちゃんも、す、好きだから……」

 照れ臭そうに、視線は逸らしたままだが、顔を向けて答える祐麒。

「……ありがと。あのね、また我慢が出来なくなったら、……いつでも言ってくれたらいいから」

 そう言って祐巳は、浴室を出て行った。

 目をパチクリさせて祐麒は、姉が消えた入り口を呆然と見つめ続けていた。

 真夜中、既に両親が寝静まっている時間、祐巳の部屋の扉を、ノックする音がした。

「はい?」

 返事した祐巳の声に応じて、遠慮がちに開けられた扉の先には、祐麒が立っていた。

「……あの、ちょっといいかな?」

「どうしたの?」

「うん、あ、あのさ……」

 何か言い難そうにモジモジしている祐麒だったが、ドアの隙間越しに見える彼の股間は、いつでも入れるテント状態。

 弟が何を言いたいのか分かった祐巳は、彼を手招きした。

「いいよ、おいで」

 姉の部屋に、足を踏み入れる祐麒。

 扉は後ろ手に、ゆっくりと静かに閉じられた。

 年頃の男の子の気持ちを受け止めるのって、どうやら相当難しい事らしい。

 祐巳は、半ば常習と化した弟との関係に、「少し軽率だったかなぁ……?」と、受け止めてやる度に、そう思うのだった。

終わり

※後書き
 てなワケで、如何わC氏の原案及びイラストを元に、朝 生 行 幸が妄想と妄想を駆使し、更には妄想や妄想までフルに発揮して書き上げた、異色のマリみてエロSS、禁断の"祐巳×祐麒"が完成しました。
 コレはヤバイぜ、問題作だぜ、発禁だぜ、マリみてファンの大多数を敵に回すぜ、ちなみに純粋に男女の絡み(ソフトだけど)を書いたのは初めてだぜ(笑)。
 出来るだけ柔らかい表現に徹底しましたが、もっと俗で卑猥な名称を使った方が良かったかな? チ○コとかザー○ンとか、オッパイ……はそうでもないか。
 実は、由乃も交えた続編──祐巳と由乃が、好奇心の赴くまま、パイ○リやスマ○、ダブル○ェラとかで、動けない祐麒から無理矢理4〜5発抜いてしまうというエロイ話──がなんとなく頭にあるのですが、多分書かないと思います。

※管理人お礼♪&後書き
 朝 生 行 幸さま、ステキマリみてSSをありがとうございました♪
 イカガワの継ぎ接ぎだらけの妄想を拾ってこんなにも完成度の高いSSを書き上げるなんて、スゴ過ぎる!
 祐巳の初めてとは思えない程の“お姉さんっぷり”と受け受けな祐麒に萌へまくりましたっ(≧Д≦)
 現在はとりあえず既存の絵で間に合わせつつ掲載させて戴きましたが、後ほど新たに挿絵を描き下ろして一緒にうpりたいと思っております。
 尚、「タイトルはお願いしますわ」ちゅうことでしたので勝手に付けさせて頂きました。お互いのいろいろな気持ちをそれぞれ受け止める、みたいな感じで。
 あ、ユキチの姉に対する「気持ち」に関しては祐巳は気付かぬまま受け止めてます(笑)
 あと他の候補として、
   ドキドキ混浴姉弟
〜仲良し過ぎてお風呂で♡〜

なんて脳の茹だったモノも考えてました(^^;)
>由乃も交えた続編――
イカガワもそれに近い妄想をした事が…。それも読みたい! 描きたい!?

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