ブックリスト登録機能を使うには ログインユーザー登録が必要です。
 今回の話は、本編を語る上で必要な予備知識を書き留めた話です。

 ちょくちょく出ている日本の政治云々を語ります。

 では、どうぞ。
第02章 始まりの時~1934年~
第03話 大きく変わった世界と日本と言う国家の存在
 さて本格的に物語を語る前に、皆様には少しの間、この世界――“新世界”のことについての知識を教えておきたいと思います。

 第三次世界大戦の時とその後に、大量の核兵器が地上を焼き払ったのと同時に、放散された放射能によって動植物の生態系が狂い出したのは前回も言ったのだが、その中で放射能が関係する独自の生態系が誕生した。

 例を出してみると、アニメとか漫画の世界でしか存在しないはずの“動物の擬人化”や、驚異的な身体能力を持つ“ミュータント”等が良い例だと言える。

 無論、上記の二つは特別の存在であり、ヒューマノイド・タイプと呼ばれる“人間の容姿”をしているが、基本的な一種類の種族と遺伝子の変化によって生まれた二種類の合計三種類の種族が存在していた。


 まず一つ目は“ナチュラル”と呼ばれる、現実世界の我々と全く同じ遺伝子の変化が無いヒューマノイド・タイプだ。

 簡単にいえば、放射能による放射能汚染を逃れた一部の人類とその祖先の人達の事を言い、全くと言ってもいい程普通の人間であるが故に、これから紹介する“ある種族”を“人間の容姿をした化け物”と呼ばわりする一部のナチュラルもいるが、基本的には至って普通である。


 次の二つ目は“エクスネイター”と呼ばれる、特別を意味する“エクストラ”と、本来なら物事の調整する人を意味する“コーディネーター”が合わさった造語であり、“人類存続のために生まれた(生まれざるを得なかった)特殊な人”と言う事になる。

 先ほどのナチュラルとは違い、放射能によって遺伝子の一部が組み替えられた人類の事を言い、遺伝子の組み換えによってナチュラルよりも優れた肉体とより多くの知識を得られる頭脳を持ち合わせた特別な存在であるが故に、ナチュラルを“劣等種”として馬鹿にしており、これらの傾向はエクスネイターの比率が多い一部の大国――厄介な事にアメリカやソ連に多い考え方だから余計にタチが悪い。

 先ほども言った通り、ナチュラルよりも優れた肉体と運動性能、優秀な頭脳を持っており、病気や過酷な環境への対応率もナチュラルよりも優れているが、老衰や心臓や頭部等に著しい損傷を受けた場合は当然ながら死に至る所はナチュラルと一緒である。


 そして最後は……“ラグナネイター”と呼ばれる、大昔にあった第三次世界大戦の事を北欧神話における世界最終戦争として“ラグナロク”と呼んだ同語と、“コーディネーター”が合わさった造語であり、その存在は極めて稀であり、数千億人に一人現れるかどうかという何千億分の一の確率で生まれ、その確率故にありとあらゆる能力に関してはナチュラルとエクスネイターを遥かに凌駕したまさに“究極の存在”だ。

 同人種の存在は歴史上では詳しくは確認されてはいないが、世界中のありとあらゆる国家・人が知っている都市伝説――“ラグナネイターが存在する国家は、世界を思いのままに出来る。故にラグナネイターが世界を大きく変えるカギ”とされる程だ。


 以上のが、この世界における人種の紹介であり、次に紹介するのが国家だ。と、その前に“旧世界”において地球上の海洋面積に変化があることを言っておこう。

 第三次世界大戦の後、大規模な地下変動が世界中で発生した結果、各地で元々海底にあった部分が地下変動で隆起して元々あった土地と合体した現象が起こったため、最終的に確認されたのが旧世界で7割の海洋・3割の陸地だったのが、新世界では6割の海洋・4割の陸地となってしまった事実であった。

 そこを踏まえ、これから日本の事に紹介をしていく。他国は説明出来たらいいと思う。


 まずは我らが“日本皇国”だ。第02話でも少し語ったが、総理を日本と言う国家の最高責任者であると同時に、軍隊の最高司令官であるため、階級は“総帥”と必然的に唯一無二の階級を授かる事になる。

 憲法は並行世界の日本の“日本国憲法”みたく、立法・司法・行政が一方でも権力の集中化を防ぐための“三権分立構想”、統帥権を持つ総理と国民が陸海空三軍の暴走を防ぐための“文民統制(シビリアン・コントロール)構想”、天皇は“国家の象徴”であり特別且つ重大な事がない限りは政治に不関与すると言うイギリス憲法の思想“国王は君臨すれども統治せず”等の内容を含んだ“新大日本皇国憲法”として存在する。

 当初は、天皇主権を基幹とする内容であったのだが、1930年に締結されたジュネーブ海軍軍縮条約の内容に不満を持つ海軍上層部が、天皇が持つ軍隊を統治する統帥権を盾に「天皇の軍隊を削減するとは何事か!?」と政府を攻撃したり、挙句の果てには1932年5月15日に陸海軍の過激派によって引き起こされた“五・一五事件”によって、当時の首相であった犬養毅が意識不明の重体を負い、そのほかの閣僚や重臣から死傷者を出したのだ。無論、このクーデターは国家を守るはずの軍隊が首相を暗殺しようとしたことに激しい怒りを覚えた天皇陛下の“鶴の一声”であえなく鎮圧され、その後に行われたクーデター軍ならぬ反乱軍の首謀者を対象とする裁判は猶予の無い非常に厳しい判決が下された。

 五・一五事件の後、天皇は同事件で明らかになった憲法の欠点――自らが持つ統帥権の存在を問題点として挙げ、そして犬養を始めとする閣僚の大半が政治活動に参加できないために犬養内閣は自動的に解散せざるを得ないため、天皇自らが指名したのが、当時連合艦隊司令長官にして海軍随一の頭脳と名声の持ち主、そしてエクスネイターである東雲紅夜海軍大将であった。

 天皇の期待を一身に背負った東雲内閣が誕生した事に世間では確実に日本は変わるとして絶大な支持をしていた。その期待は裏切られることなく同年6月9日から五ヶ月で新憲法案が皇国議会と天皇が承認したため、同年12月8日に新憲法の公布、翌年2月11日に“新大日本皇国憲法”が施行されたのだ。

 内容は先ほどから言っているので言うまでもないが、この憲法によって、統帥権が天皇から首相にある事で軍部は首相の命令無しでは動けない状態になり、さらに国民からも見られている状態になるので余計な手を出せば国民からの指示がなくなるので、尚更にその動きを制限することに貢献した。

 やはり東雲内閣を語る上で忘れていけないのが、ナチュラルとエクスネイターの共存を訴えかけた事にある。当時、日本の人口は2億4000人。割合としてはナチュラル6割の1億4400万人、エクスネイター4割の9600万人となっている。

 ちなみに参考までだが、世界総人口は45億人で、ナチュラルは30億人、エクスネイターは15億人と言う割合になっており、前者はアフリカやアジアに多く、後者はヨーロッパやアメリカ等に多い傾向がある。

 最初の方でも言ったが、ナチュラルはエクスネイターの事を“人の容姿をした化け物”、逆にエクスネイターはナチュラルを“劣等種”と言う感じに互いを差別し合う傾向にあるために、両種族の共存は出来ないと言われている世の中で、日本だけは違っていた。

 東雲曰く、ナチュラルとエクスネイターが互いに持つ良さを十二分に発揮できる政策を打ち出し、さらにナチュラルが多い日本にエクスネイター用の自治区を“満州・朝鮮地方”に設けて同種を受け入れした事で、両種族がいざこざになる事を極力減らした事に貢献し、その副産物に同自治区にイギリス・ドイツ系のエクスネイターと企業が(こぞ)って構えた事によって、新技術が日本に入ってきたのだ。


 後は……忘れていけないのが、軍隊の構造についてである。

 日本では陸海空軍の三軍が存在しており、指揮系統を説明すると、総帥である首相の命令を受け、三軍の指揮を統括する統合参謀本部、三軍の最高責任者の事を○○(陸海空軍のいずれ)幕僚長、3人の幕僚長の上に統合幕僚長がいるが、その命令を受けた統合幕僚長が各幕僚長に命令を下し、その命令を受けた幕僚長が配下の部隊に命令を下すと言う感じだ。

 陸軍は言わずもがな日本の領土(日本列島+台湾+満州地方+朝鮮半島+南樺太+千島列島+北方領土)を防衛するための組織であり、1個師団1万5000名と換算して15個師団22万5000名、2個機甲師団3万名、2個空挺師団3万名、その他諸々の部隊が存在する。

 尚、新世界世紀1934年を旧世界の技術レベルに換算すると、大体1950年から60年に相当するため、そこら辺は言い忘れないうちに言っておく。


 海軍は将来起こるであろう対米戦に備えて軍拡するために予算を多く獲得している組織――もとい日本の領海に迫りくる敵艦隊を撃破するための組織であり、主力艦である戦艦・空母を共に14隻保有し、そこから空母4隻を主力とする1個機動艦隊を2個と空母6隻を主力とする1個機動艦隊を1個を基幹とする“航空主兵主義”をとっている。

 日本海軍(連合艦隊)とは別に、“無資源国家”である日本が必要とする物資・資源を運送する輸送船団の護衛とシーレーン防衛を兼ねた組織――海上護衛艦隊が存在している。

 この組織には、1000トンに満たない大多数の、または1000トンを超す一部の対潜駆逐艦や護衛艦を主力に、対潜爆雷を搭載できるように改良した戦闘機や対潜哨戒機を艦載する4隻の護衛空母、護衛艦隊旗艦を務める大型軽巡洋艦が配備されている。


 最後は空軍。空軍は一部の海軍所属の陸攻隊と空母艦載機を除いた、日本の本土や領土に進攻する敵爆撃機部隊の迎撃のための迎撃機、敵国への空爆を行う重爆撃機等が配備されている組織であり、海軍に並んで予算を多く獲得している組織でもある。

 ちなみに、空軍のパイロットには対G耐性が優れているエクスネイターを中心に、日本では数は少ないが非常に長い歴史の中で独自の成長を遂げた背中に翼が生えている“鳥人種(ハーピィ)”等が存在している。鳥人種は航空機ではできない急停止や垂直上昇・降下が行えるトリッキーな空戦が出来る代わりに、防弾服を着ているとはいえ生身であるが故に航空機よりも遥かに被弾に弱い特徴があるが、それでも先に語ったメリットが欠点を補っているため、日本空軍では1000名の鳥人種からなる鳥人種部隊が存在している。


 取り敢えずは、この世界はどんな事になっているのか。この世界の日本がどんな政治体制をしているのか、どんな軍隊を持っているのかを一通り説明しました。

 外国についての説明が作者の関係上、また別の機会に紹介していきたいと思います。
 いかがでしょうか? この世界の日本の政治が、我々の世界の日本の日本国憲法そのものの部分が大半ですが、無論、第9条は存在しません。

 人種もそうですが、遺伝子の変化を受けなかった“ナチュラル”と、遺伝子の変化で身体の構造が変わった“エクスネイター”、未確認であるものの究極の存在である“ラグナネイター”を根幹として、その下に亜人種ともいえる鳥人種がいますが……まぁ、全ては第三次世界大戦が残した負の遺産から生まれた存在である事にして下さい。

 次回は、海軍の事に触れていきたいと思います。
評価
ポイントを選んで「評価する」ボタンを押してください。

▼この作品の書き方はどうでしたか?(文法・文章評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
▼物語(ストーリー)はどうでしたか?満足しましたか?(ストーリー評価)
1pt 2pt 3pt 4pt 5pt
  ※評価するにはログインしてください。
ついったーで読了宣言!
ついったー
― 感想を書く ―
⇒感想一覧を見る
※感想を書く場合はログインしてください。
▼良い点
▼悪い点
▼一言

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項を必ずお読みください。


+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。