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政治
「私と国民は常に諸君とともに」「崇高な任務に没頭を」 防大卒業式首相訓示(全文)
「すべての人生は、このときに備えるためにあったように思う」
「ハドソン川の奇跡」は、「偶然」の結果ではありません。サレンバーガー機長の、強い使命感と責任感に裏打ちされた、努力と訓練の積み重ねがもたらした「必然」の結果であったと思います。
一生に一度あるかないかの「そのとき」に、完璧に任務を全うする。これは並大抵のことではありません。しかし、これから幹部自衛官となる諸君には、その心構えを常に持って、鍛錬を積み重ねてほしいと思います。
何よりも、「そのとき」が訪れないようにすることが、日本にとって最善であることは言うまでもありません。しかし、万が一の「そのとき」には、国民の生命と財産、わが国の領土、領海、領空を断固として守りぬく。その責任感を胸に刻み、諸君には、いかなる厳しい訓練や任務にも、耐えていってもらいたいと思います。
日本を取り巻く安全保障環境は厳しさを増しています。諸君が防衛大学校の門をたたいた4年前とは異なり、わが国の領土、領海、領空に対する挑発が続いています。諸君が、これから臨む現場で起きていることは、冷厳な「現実」であり、「今、そこにある危機」であります。
今、この瞬間も、諸君の先輩方は、荒波を恐れず、乱気流を乗り越え、泥にまみれながらも、極度の緊張感に耐え、強い誇りを持って、任務を立派に果たしています。
私はその先頭に立って、国民の生命、財産、わが国の領土、領海、領空を守りぬく決意であります。11年ぶりに防衛関係費を増加します。今後、防衛大綱を見直し、南西地域を含め、自衛隊の対応能力の向上を進めます。
先般のオバマ大統領との会談により、緊密な日米同盟も完全に復活しました。そのうえで、日米安保体制のもとでの抑止力を高めるためにも、わが国は諸君とともに、さらなる役割を果たしていかねばなりません。
私と日本国民は、常に諸君とともにあります。その自信と誇りを胸に、諸君には、それぞれの現場で活躍してもらいたいと思います。
この場には、カンボジア、インドネシア、モンゴル、大韓民国、タイ、そしてベトナムからの留学生諸君もいます。諸君は、国の守りを担う、それぞれの母国の宝であることは間違いありません。
同時に、わが国にとっても諸君の母国とわが国とをつなぐ、大切な友情の架け橋であります。ぜひとも、ここでの学びの日々で育まれた深い絆を、今後とも発展させてほしいと思います。そして、愛する母国に戻り、それぞれの現場で大いに活躍されることを、心より祈念します。
今日、この場所から、それぞれの現場に踏み出す諸君に、最後に、この言葉を贈りたいと思います。
「批評するだけの人間に価値はありません」
「真に称賛しなければならないのは、泥と汗と血で顔を汚し、実際に現場に立つ者です。勇敢に努力する者であり、努力の結果としての過ちや、至らなさをも持ち合わせた者です」
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