原発教育:「主婦中心」の人形劇団 団員全員、東電と関連
毎日新聞 2013年03月25日 15時00分(最終更新 03月25日 15時42分)
「エネルギーに興味のある主婦を中心に活動を始めた」とホームページ(HP)で自己紹介している人形劇団が、実際には東京電力から広報事業を受注する会社の元女性従業員らにより設立されていた。劇団幹部は毎日新聞の取材に対し、HPの記載に虚偽があると認めた上で、スタッフには1公演当たり各7000円払っていたなどの実態を明かした。
この劇団は「カッパの河太郎一座」。HPなどによると「夏休みに子供に社会体験させようと原発を見学し、親子ともども、エネルギーを作って家庭に届くまでに大変な努力をされていることに気づかされた」として00年、エネルギーに興味のある主婦を中心にインターネット上で「エネルギー倶楽部」を開き、意見交換を主に活動を始めたとしている。
人形劇団を作ったのは「エネルギーの大切さを子供たちにも伝えていきたいと思うようになった」ためで、02年に財団法人・日本立地センターから「エネルギー劇キャラバンNPO支援事業」として人形劇団が認められた、とする。
しかし、劇団の中心メンバーによると、団員5人全員が設立当時、東電から広報事業を受注するリサーチ会社に所属。広報事業は、自宅に数人の主婦を集め、原子力の必要性をパーティー形式で「教育」する内容だったという。
あるメンバーは自宅などで約300回パーティーを開催。そうした中で「子供にもこういう話を聞かせたい」との声があり、日本立地センターの公募事業(発注元は経済産業省資源エネルギー庁で、「次世代層<未就学児・小学生>向けエネルギー劇キャラバン事業」)に応募したところ採用された。公募前にはエネ庁でプレゼンテーションし、その場で支援を約束されたという。エネ庁に自分たちの意思で行ったのか、誰かに勧められたのかは説明しなかった。
人形劇は、シロクマの母親からカッパたちに「SOS」の手紙が届き、現地に向かうと氷が解けて子グマと離れ離れになっていたため助けるものの、地球温暖化の話を知りカッパたちが驚く、といった内容。また、電気がない生活を知るためタイムマシンで江戸時代に行き、電気の便利さや大切さを知るなどの設定になっている。