西内 マネジメントの話をすれば、天才を100人つくることはできませんが、統計学を適切に使えばモデルの当てはまり方次第で、100人の従業員にその8割方の仕事をしてもらうことは、そう難しくないのではないかと思っています。
飯田 よくビジネスの現場では、これからスペシャリストが必要ですと言われますが、本当にそうなのかなと思います。スペシャリストがいいのか、ゼネラリストがいいのか、というのは統計学の話にかなりリンクしています。
例えば、かつてはプログラミングさえできれば一生食えると言われていましたが、実際はそうではなくなりました。成功したスペシャリストのデータを何十例集めようと意味がなくて、本当は、成功していないスペシャリストが何人いて、スペシャリストじゃないのに成功している人が何人いて、という四分割が必要です。さらに、スペシャリストとゼネラリストの平均は、そして分散は、としなければ実態はわかりません。
西内 あと、汎用性のあるスペシャリストと、汎用性のないスペシャリストというのも分けないといけませんね。その点、統計はどの分野でも必要になるので、基本が完璧にできていると、どの分野に行っても通用する武器になると思います。
いろはかるたに「論より証拠」という素晴らしい言葉がありますが、まさしく統計学のことだと思っています。
にしうち・ひろむ/1981年生まれ。東京大学医学部卒業(生物統計学専攻)。同大学院医学系研究科医療コミュニケーション学分野助教、大学病院医療情報ネットワーク研究センター副センター長などを経て、現在は調査・分析などのコンサルティングに従事。
飯田泰之
いいだ・やすゆき/1975年生まれ。東京大学経済学部卒業、同大学院経済研究科博士課程単位取得中退。内閣府経済社会総合研究所、財務省財務総合政策研究所などで客員を歴任、現在は駒澤大学経済学部准教授。主な著書に『思考の型を身につけよう』(朝日新書)など多数。