現在セール中の「ずっとやりたかったことを、やりなさい。」より。この手の本はタイトルで食傷気味でしたが、いざ読んでみたらかなり内容が濃くて面白かったです。創作活動に関わる人は読んでおいて損なし。
「怒り」について
創造性を高めるための具体的な方法や習慣(「モーニング・ノート」の執筆、「アーティスト・デート」の実践など)が紹介されている本書、ところどころめっちゃ良いことを言っています。特に刺さったのは「怒り」についての項目。
ちょっと長いですが、1ページ分ほど引用。太字はぼくが入れています。
怒りは耳を傾けもらいたがっている。怒りは声であり、叫びであり、懇願であり、要求である。怒りは敬意を払ってもらいたいのだ。というのも、それは心の地図だからである。
怒りは私たちの限界がどこにあり、私たちがどこに向かいたがっているかを教えてくれる。また、自分が現状に満足できなくなっていることを知らせてくれる。創造性を回復しはじめている人にとって、怒りは健全な兆候なのだ。
怒りは表現されることではなく、行動を求めている。私たちは、怒りを燃料として活用し、怒りが示す方向に向かって行動を起こさなければならない。怒りのメッセージを読みとるのはそれほど難しいことではない。
「くそくらえ!俺なら、あれなんかよりもっとすごい映画を撮れる!」という怒りは、あなたが映画を作りたがっており、その方法を学ぶ必要があることを告げている。
「信じられんよ!この劇のアイディアはぼくが3年前に考えたものだ」という怒りは「もたもたするな。いくらよいアイディアがあっても、シナリオを書き上げてかたちにしなければ劇にはならない。すぐにはじめなさい」と訴えている。
「彼が使っているのは私の企画だ。信じられない!盗まれたんだ!」という怒りは、自分のアイディアをもっと大切に取り扱う時期がきていることを示している。
(中略)怒りは古い人生の終わりを告げる旋風であり、新しい人生へと駆り立てる燃料だ。怒りは支配者ではなく、適切に活用すれば役に立つ道具となる。
(中略)怒りは友だちである。素敵な友だちでも、やさしい友だちでもないが、きわめて誠実な友だちだ。それは、私たちが裏切られたときや自分自身を裏切ったとき、かならず知らせてくれる。そして、自分の興味に従って行動するときであることを告げてくれる。
怒り自体は行動ではない。行動への招待である。
うーん、金言ですね。さすが世界的ベストセラー。
ぼくも創作者なので、怒りの重要性は身に染みてわかっていたつもりですが、「怒りが自分の限界や、裏切られたとき、自分を裏切ったときを教えてくれる」というのは目から鱗の指摘でした。うーん、確かに。
特に重要なのは、「自分の限界」に感じる怒りなのでしょう。大企業時代、自分の企画が通らなかったときに「なんで誰もわかってくれないんだ!」と怒りを抱いたことを記憶しています。当時は他罰的になっていましたが、振り返ってみれば「誰もわかってくれない」のは自分の能力的な限界がそこにあったからです。
考えてみると怒りには、ほとんど「自分の限界」が紐づいているように感じます。「部下が使えない」のは明らかに上司に限界があるからですし、「レストランに入ったら、隣りが喫煙者で嫌な思いをした」みたいな怒りも、極論すれば「店の質を見抜くことができなかった自分の限界」の裏返しです。
本書が指摘しているように、怒りは行動への「招待」です。
「なんで誰もわかってくれないんだ!」と思うのなら、わかってもらえるための行動を、一歩進んで取ってみましょう。そこからブレークスルーが生まれるかもしれません。
一方で、行動をとらず、怒りを怒りのままで終えてしまうのは、人間をダメにします。あえて例を出すまでもなく、いますよね、安全地帯で文句ばっかり垂れてる人。これはクリエイティビティとはほど遠い人材です。
というわけで、創造性あふれる人間になるための金言、方法がまとまった名著です。これはもっと若いうちに読んでおきたかったなぁ。
セールはあと数日ですので、買うならお早めに。内容がいいためか、古本もあまり安くなっていないのでKindle版がおすすめです。