憲法改正:96条論議が活発化 参院選後にらみ各党思惑
毎日新聞 2013年03月07日 21時49分(最終更新 03月07日 22時09分)
安倍晋三首相が掲げる憲法96条改正による改憲発議要件の緩和に向け、与野党の動きが活発化している。首相が会長を務める超党派の議員連盟「創生『日本』」が96条改正を視野に活動を再開し、民主、日本維新の会、みんなの3党有志も7日、勉強会の設立を決めた。改憲発議に必要な衆参両院の3分の2以上を確保する土台作りのほか、賛否両派が混在する民主党を分断する狙いもちらつく。参院選後の枠組みもにらみ、各党の思惑が入り乱れている。
創生「日本」は5日、安倍内閣発足後初の総会を開き、運動方針に新たに「憲法改正に向けた政治の流れを強める」と盛り込んだ。一方、民主の渡辺周元副防衛相、維新の松野頼久国会議員団幹事長、みんなの浅尾慶一郎政調会長ら4人は7日会談し、3党有志の「96条研究会」の結成で合意。渡辺氏は記者団に「中間派、反対派、推進派の話を聞く」と述べた。
首相は4日の衆院代表質問で「憲法改正には党派ごとに異なる意見があり、まずは96条改正に取り組む」と語った。昨年の衆院選公約では自衛隊の「国防軍」化など9条改正の姿勢を鮮明にしたが、連立を組む公明党は慎重だ。ひとまず発議要件の過半数への緩和に絞り、改憲の実績を積む考えがある。
96条改正自体は両院の3分の2が必要だ。与党少数の参院で3分の2以上(161議席)を自公だけで得るには、夏の参院選で大幅な上積みが必要で現実的ではない。一方で、維新やみんなは改憲に積極的だ。首相の意向を背景にした創生「日本」の動きは、参院選後の政権運営の枠組みもにらみ、改憲という一致点で両党を引きつける狙いがある。
野党側には参院選に向けた再編の思惑がちらつく。維新の橋下徹共同代表は7日の記者会見で「96条を改正するかしないかで民主党は分かれた方がいい」と露骨に語った。渡辺氏ら積極派と旧社会党系など慎重派が混在する民主党を分裂させる狙いで、海江田万里代表は7日の会見で「96条だけの改正の意味がよく分からない。(改正の)中身とセットで議論すべきだ」とけん制した。