オスプレイ:九州各県、住民にも情報求める 6日から訓練
毎日新聞 2013年03月05日 12時46分(最終更新 03月05日 13時13分)
在日米軍が垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの本土初の低空飛行訓練を九州上空で6日から実施する方針を明らかにしたことを受け、飛行ルートに当たる九州各県は5日、対応に追われた。
宮崎県は同日朝、安全対策の徹底を求める5項目の知事名義の要請文書を九州防衛局に送った。県危機管理局によると、要請項目は(1)日米合同委員会で合意した安全確保策の順守(2)訓練内容の詳細情報の収集と関係自治体への連絡(3)事故や緊急着陸時の速やかな情報提供−−など。
九州上空の訓練空域「イエロールート」の正確な範囲や訓練時間は不明のため、県による監視活動などはしないが、ルートにかかるとみられる県北部9市町村には、オスプレイの目撃情報などがあれば県に報告するよう求めた。担当者は「これまでの米軍訓練で事前通告はなかったので一定の前進だ」と評価した。
大分県も5日朝までに全18市町村に飛行訓練の情報を伝え、住民からの目撃や騒音情報があれば県に報告するよう求めた。県民にも協力を求め、県ホームページに(1)飛行日時(2)場所(3)おおよその高度(4)方向(5)機種や機数−−の情報提供を呼びかける項目を加えた。
同県に4日夜届いたファクスには「イエロールートで訓練を実施する」と書かれているだけ。すぐに九州防衛局に改善を求めたが、防衛局は「うちもこれ以外に情報を持ち合わせていない」と答えたという。農木寿郎・同県危機管理監は「これだけの情報量では、いつ、どこを通るのか分からない。しかしなぜ九州が最初なのか」と戸惑いを見せた。
福岡県の行政経営企画課は5日、大分、熊本両県の担当者と連絡を取り、更に情報が得られていないかなどを確認。また、九州防衛局に対し、「福岡県上空を飛ぶのか」「訓練が実施される時間帯は分からないか」などを問い合わせたが、返答はいずれも「分からない」だった。
熊本県によると、5日朝に九州防衛局に夜間訓練が何時までか問い合わせたところ、午後10時までとの回答はあったという。蒲島郁夫知事は同日午前、県庁で取材に応じ「飛行ルートなど詳細な情報が欲しいと言ってきたが、それがないまま訓練が行われることは残念だと思っている」と不満を示した。【門田陽介、土本匡孝、林田雅浩、澤本麻里子】