県は22日、環太平洋連携協定(TPP)に参加した場合の県農林水産物への影響額を公表した。農産物では2011年度の産出額3113億円の27・4%に当たる854億円が減少。牛乳乳製品の産出額がゼロになるのをはじめ、牛肉やコメなどに大きな影響が出るとした。
政府が15日公表したコメ、砂糖など33品目への影響試算の算出方法を当てはめた。TPP交渉に参加する11カ国を対象に、関税を即時撤廃し、国内対策をしない前提。
県の場合、大きな影響が出るとみられるコメ、小麦、牛乳乳製品、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵の7品目を対象に試算。主な影響額は、▽牛乳乳製品263億円(100%減)▽牛肉213億円(70%減)▽コメ203億円(50%減)▽豚肉136億円(79%減)など。
このほか林業関係では「合板」が11・5%減の9億円。水産物はアジ、サバ、イワシ、イカ・干しするめ、カツオ・マグロ類の5品目で1・9%減の6億円とした。県農林水産物全体の影響額は869億円。
県農林水産政策課は「県農業の4分の1が減少する試算で県経済への影響は大きい」としている。
政府は、TPP参加によって消費や工業品の輸出が増え、10年後の実質国内総生産(GDP)が3兆2千億円増えるとの試算結果も公表しているが、県は「商工関係は輸出入額も影響し、県レベルでは判断できない」として試算していない。(福井一基)
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